サプライヤーにおけるCSR状況の把握と改善に向けた取り組み 

  • 重要課題

  • GRI Standards

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  • 414-2

  • 408

一次サプライヤーにおける監査の実施と是正に向けた取り組み

取引中のサプライヤーCSR監査については、「ミズノCSR調達規程」に基づき、主な製造委託先工場である200以上の工場に直接赴き、定期的(3年で一巡)にミズノCSR調達行動規範に定める内容の遵守状況についてモニタリング(CSR監査)を実施しています。モニタリングは、現場監査、書類監査、従業員インタビューにより構成され、通常は複数の監査員が1日~数日かけて行います。遵守状況の確認には、ISO26000をベースとしたグローバルで共通のモニタリングシートを使用し、監査項目を致命的、重大、一般の3段階に分類し、ポイント加算方式で行っています。設備等により監査項目が該当しない場合があるため、該当項目の合計ポイントに対する獲得ポイントの割合を百分率で表しています。問題が発見された場合は、適切な是正措置を共に考え、評価ランクC以下の場合は6か月後に再びフォローアップ監査を行っています。2016年度は48工場の監査を行いました。

CSR監査の流れ


 

1.オープニングミーティング 2.工場監査 3.書類監査 4. 従業員インタビュー 5. クロージングミーティング
監査員から工場の責任者や人事総務担当者、組合長等に対して「ミズノCSR調達ガイドライン」を利用し、監査の主旨を伝えるとともに、スケジュールなどについて説明を行います。 工場内を点検しながら不明な点は随時担当者へ質問。また生産現場だけでなく、食堂や寮にも赴き、安全衛生面や生活環境は守られているかを確かめます。 ※全建屋対象 児童労働の有無や、労働時間や給与、社会保険は適切か、建築や消防に関する書類は揃っているか、環境に関する必要な測定は実施しているかなどを点検します。 労働時間、休暇、賃金、健康診断などについて従業員の方に質問し、工場責任者の証言や書類の内容と一致するか確認します。また、セクハラや差別、虐待といったことがないか確認します。 現場監査と書類チェックの結果をまとめ、工場責任者に監査結果を報告するとともに、今後の改善の計画などを話し合います。詳しい評価は、後日ミズノから連絡します。

2016年度のCSR監査実施状況

製造委託先工場数※1 監査対象※2 2016年度監査実施数 監査対象に対する監査完了率※3 2014年度監査実施数(参考) 2015年度監査実施数(参考)
日本 107 24 11 46% 11 15
中国 141 57 17 30% 32

35

韓国 9 0 0 - 5 3
台湾 27 0 0 - 1 1
インドネシア 21 10 3 30% 5 2
ベトナム 43 23 8 35% 7 15
タイ 13 6 4 67% 0 2
フィリピン 4 4 1 25% 0 1
ミャンマー 7 2 0 0% 3 3
カンボジア 10 3 1 33% 1 2
その他 23 5 3 60% 1 6
405 134 48 36% 66 85
(注) 1.2016年4月時点。2016年度からCSR監査対象とする条件を変更した。
  2.新規製造委託先候補工場への事前監査を含む。
  3.ミズノでは3年で一巡するよう主要工場での監査を実施している。

主なモニタリング内容

ミズノでは、主に以下の項目について監査を行っています。監査項目は、致命的、重大、一般の3段階に分類され、それぞれポイントに重み付けをしています。監査対象工場の設備等で該当する監査項目が若干異なるため、該当する監査項目ポイントの合計を割合で表しています。

監査項目と平均点(2016年度) 

平均点(全体)
人権 児童および未成年労働者 98%
強制労働 99%

結社の自由

96%
差別 100%
懲罰慣行 99%
労働慣行 労働時間 77%
報酬 88%
安全衛生管理システム 89%
安全衛生>職業上の安全衛生 92%
安全衛生>機械及び設備 75%
安全衛生>電気 93%
安全衛生>化学物質 76%
安全衛生>消防 83%
安全衛生>救急処置 79%
安全衛生>飲料水・洗面台・便所 100%
安全衛生>厨房 92%
安全衛生>寮 93%
環境 環境 76%
その他 監査協力姿勢 100%
平均 90%

国別平均点

監査結果の全体評価

ミズノでは、評価指数90点以上を評価A、評価指数80-89点を評価B、評価指数70-79を評価C、評価指数69点以下、または、児童労働・強制労働が発見された場合を評価Dとし、監査結果を4段階で評価しています。
2016年度の監査対象のサプライヤーにおける全体評価は以下の通りです。

評価 対象数
A 28
B 16
C 3
D 1
全体 48
 

違反が確認されたサプライヤーの是正状況

不適合が多かった項目

海外では、評価の低かった項目は「労働時間」「環境」「安全衛生(化学物質)」「安全衛生(消防)」などでした。具体的には、残業や休日出勤などの長時間労働、有害廃棄物の取り扱いの不備、化学薬品を使用する従業員に対して職業上必要な健康診断が実施されていない、消防設備の維持管理とアクセスの確保などの問題が発見されました。

全体

順位 分類 要求事項 不適合割合
1 労働時間

工場の労働時間は法的要求事項を満たしているか?

48%
2

環境

有害廃棄物は認可された契約業者を使用して輸送され、処分されているか?

44%
3

報酬

すべての労働者は、現地の法的要求事項を満たす社会保険を提供されているか?

42%
4

環境

有害廃棄物は、適切に分別され、取り扱われ、保管されているか?

38%
5

安全衛生>化学物質

工場は危険な環境に晒される労働者のために定期健康診断を手配しているか?

31%
6

安全衛生>消防

工場は定期的に消火器を確認するために、有効な仕組みを導入しているか?

31%
7

安全衛生>消防

消火器、消火栓、火災報知器へのアクセスに障害がないか?

31%
8

安全衛生>救急処置

選ばれた労働者は救急処置のトレーニングに出席していたか?

31%
9

環境

工場は、現地の法律または規則によって要求されるすべての認可および許可証を持っているか?

31%

 

不適合項目の是正状況

全体
是生済 118
是生未 130
※2016年度CSR監査実施分の2017年3月31日現在の状況

CSR監査以外での対応

ミズノでは、定期的(3年で一巡)に主な製造委託先工場である130以上の工場に直接赴き、ミズノCSR調達行動規範に定める内容の遵守状況についてモニタリング(CSR監査)を実施していますが、特にリスクの高い地域においては、監査以外でもCSR担当者が工場視察で現状確認を行い、是正が必要な場合はアドバイスを行っています。工場視察の際には、ミズノのCSRに対する考え方、またCSRの意義についても説明し、一方的な押し付けではなく、その意義を理解し、納得した上で取り組んでもらえるようにしています。2016年度は、日本、中国、ベトナム、タイの皮革なめし、染色、メッキ加工工場とゴルフ工場、シューズ工場など計11工場で現地視察を行いました。

現在、ミズノの製造委託先工場の多くは東南アジアに立地していますが、現地の急速な経済成長を背景として今まで以上に環境問題や労使紛争などが起こりやすい状況になってきています。このような社会の変化を受け、CSR監査における不適合項目の是正だけでは根本的な人権・労働・環境問題の解決にはつながりにくくなっている中で、今後はCSR監査以外の活動、特に工場のキャパシティ・ビルディング(能力向上)に力を注いでいく必要があると考えています。

2016年度は新たにキャパシティ・ビルディングの取り組みとして「ミズノCSRセミナー」を中国・東莞で10月に開催し、仕入先12社20名を対象にCSR調達への理解を深めていただくことを目的に、現地法令や是正対策なども盛り込んだ内容で行いました。



ミズノCSRセミナー(2016年10月 中国・東莞)

IndustriALLとUAゼンセンとの協働

ミズノは、製造委託先工場の労働者の人権保護、労働条件の向上のために共に正当なパートナーとして尊重し協力し合う目的で、2011年にITGLWF:国際繊維被服皮革労組同盟(現在はIndustriALL)、UIゼンセン(現在はUAゼンセン)、ミズノユニオンと「グローバル枠組み協定」に署名しました。この協定締結により、ミズノは締結者を正当なパートナーとして尊重し、ILO:国際労働機関が定める中核的労働基準(結社の自由、団結権の保護、児童労働の廃止など)の適切な実施に向けて取り組んでいます。

2012年に労働争議が発生したインドネシアのシューズ工場では、現地の労働組合から提起された問題について実情把握のために、IndustriALLとUAゼンセンそしてミズノユニオンが工場を訪問して調査を実施しました。2015年度には現地の一部の労働組合が問題解決に向けて、グローバルなNGOへの支援を要請しミズノに対するキャンペーンを展開しましたが、IndustriALL 、UAゼンセンという国際的な労働組合の代表と協力することで効果的な対応が可能となっています。


 

中国の環境NGO「IPE:公衆環境研究中心とGCA:緑色選択連盟」への協力

中国の環境NGO「IPE:公衆環境研究中心とGCA:緑色選択連盟」は中国の環境汚染改善に向けて取り組んでいますが、ミズノはサプライチェーンで発生した環境規制や環境監査での違反事例にサプライヤーと協力して対応しています。ミズノは上海ミズノを窓口に積極的にIPEとコミュニケーションを行っており、「IPE:公衆環境研究中心とGCA:緑色選択連盟」が発表する対応状況(CITI指数)ランキングで、全199ブランド中30位となっています。(CITI指数2017年5月時点)

児童労働の廃絶に向けた取り組み

スポーツ品製造においては、原材料や製品製造過程において、労働集約型で高い技術を必要としない作業も含まれます。ミズノでは、自社の事業活動を通じて児童労働に関与する可能性があることを認識し、「ミズノ倫理規範」の中で「児童労働を行わない」ことを明記するとともに、「ミズノCSR調達行動規範」の中で、供給者がILOの定める中核的労働基準8条約の中の「就業が認められる最低年齢に関する条約」(第138号)、および「最悪の形態の児童労働の禁止及び撤廃のための即時の行動に関する条約(第182号)を尊重することを期待すると定めています。

CSR監査実施マニュアルでは、CSR監査の中で児童労働を発見した場合、監査員は直ちにミズノ本社の法務・CSR課に連絡の上、対応について指示を受けることとしています。

児童労働が発生する背景には、貧困等の社会的背景が深く関係しており、単純に工場から児童労働をなくせばよいという問題ではありません。ミズノでは児童労働の問題は彼らを解雇することで解決するとは考えておらず、児童労働が存在している原因を確認しその解決策を工場と共に考え、対応することとしています。ただし幸いにしてこれまで児童労働の事例はありません。

なお、このような取り組みをスポーツ用品の製造工場だけでなく、原材料のサプライヤーへも拡げることについては今後の課題と認識しています。

二次・三次サプライヤーにおける対応

ミズノでは、ミズノと直接的な関係をもつ一次サプライヤーにおける人権、労働、環境影響の把握と必要に応じた是正を、第一に優先すベき重要課題として取り組みを進めています。
一次サプライヤーの先の二次・三次サプライヤーについては、全サプライヤーを対象とすることは難しいため、著しい人権、労働、環境影響が発生するリスクの高い領域に焦点を据えた取り組みを進めています。現在、ゴルフクラブのアイアンヘッド等のメッキ、繊維素材の染色、野球グラブやシューズ用の皮革なめし等のリスクが高いと思われる二次・三次のサプライヤーの把握に努めている段階です。
2016年度には、二次・三次サプライヤーの実情を把握するため、中国のメッキ工場、タイの生地染色加工、日本の皮革なめし工場を視察しました。

今後の課題

  • 一次サプライヤーにおけるCSR監査後の是正が重要です。サプライヤーとの対話を通じて是正の促進に引き続き取り組みます。
  • 著しい環境影響を持つ二次・三次サプライヤーを特定し、適切な監査内容を検討した上で監査を実施します。
  • 近年、製品の原材料調達、製造、流通、販売、消費、廃棄といった製品ライフサイクル全体の中で、どの部分で環境やCSR面での影響が大きいのかを把握することが求められています。こうした影響を把握するためライフサイクルアセスメントの実施について研究します。