持続可能な社会の実現に向けて、経営戦略と一体となったサステナビリティ活動をグローバルに推進し、社会課題の解決と長期的な事業収益の向上を目指します

世界が直面する新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の拡大は、いまだ収束の兆しが見えず、私たちの社会や経済に多大な影響を及ぼしています。このことは、私たちの価値観や生活様式を大きく変えました。当たり前にあった生活ができなくなる中、何が大事で、何が幸せなのかを問い直すきっかけになったと感じています。

一方、気候変動リスクも年々と高まりを見せています。世界各地で集中豪雨や森林火災、大雪などが発生し、世界と日本の平均気温は2020年にいずれも過去最高を記録しました。世界各国が温室効果ガス排出量削減に取り組む中、日本政府も2021年4月の気候変動サミットにおいて、2030年の温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減することを表明しました。

コロナや気候変動といった社会情勢の変化は、消費動向に大きな変化をもたらしています。エシカルな消費者が増え、より環境負荷の低いもの、何らかの社会課題解決につながるものが選ばれるなど、2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の方向に世の中の価値観が大きくシフトしてきたと感じています。

ミズノは、1991年から地球環境保全活動「Crew21」を開始し、環境配慮型製品の開発や資源の有効活用など取り組みを進めてきました。さらに、2004年からは、国内外の調達先企業で働く労働者の人権や労働環境の改善に取り組み、サプライチェーンの健全化に努めるなどCSR調達活動を積極的に進めてきました。こうした活動は企業の社会的責任として今後も継続して取り組みを強化していきます。私は、ビジネスに伴う責任ある企業行動をベースにしたサステナビリティ活動はコストと捉えるのではなく、経営戦略と一体となって進めることで、ブランド価値や企業価値を高めることにつながるとも考えています。

その考えのもと、2020年、当社グループは「長期経営方針」を改定し、持続可能な社会の実現に貢献することを表明しました。さらに、「持続可能な開発目標(SDGs)」への貢献に向けて、「SDGs推進指針」と価値創造ストーリー※1を策定しました。そして、2021年度には、価値創造ストーリーの内容を踏まえ、2015年に策定したマテリアリティ(重要課題)※2を見直しました。社会貢献と事業収益を一本化させたビジネスモデルをより進化させることを目的に、「環境保全」「スポーツを通じた心身の健康」「人間性の尊重」をサステナビリティ活動の戦略領域とし、グローバルで取り組みを加速させ、情報開示も積極的に行っていきます。

変化の激しい新たな時代を迎える中、私は、スポーツがもたらすさまざまな価値がいま改めて見直され、スポーツへの期待がより高まっていると感じています。当社グループはこれまでも、スポーツ分野で培ってきた強みを生かし、一つのものに偏らずに多くの柱を持ち、機能や素材を生み出す開発力と、高い品質のモノづくりを実現する技術力を培ってきました。そして、スポーツの力で社会課題を解決するさらなるイノベーションの創出に向けて、2022年度中には「新研究開発拠点」を設立します。これまで培った強みであるビジネス資産を応用し、新たな事業活動を展開していきます。

当社グループは1906年の創業以来「より良いスポーツ品とスポーツの振興を通じて社会に貢献する」という経営理念を掲げています。スポーツをする歓びや幸せを人々に届けることを目的に、その時々の社会動向や人々のニーズをいち早くキャッチしながら、価値創造に取り組んでいます。

そして2021年、創業115年を迎えました。これから2030年に向けて、またその先の2050年においても経営理念の精神は変わりません。スポーツの価値を追求することにより平和で持続可能な社会が実現し、その結果としてミズノブランドが創造され、着実に成長していくことを目指しています。今後もステークホルダーの皆さまの一層のご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

ミズノ株式会社 代表取締役社長

水野明人