体の内部を可視化する「筋電位計測ウエア」の開発

体の内部を可視化する「筋電位計測ウエア」の開発

スポーツの世界では、動作解析や映像分析の進化により、「どのように動いたか」を客観的に測定できるようになってきました。たとえば、モーションキャプチャや床反力計測などによって体の動きや関節への負荷を「見える化」してきました。しかし、体の内部情報である「筋肉がどのように働いていたのか」を、スポーツの現場で手軽に測定することは、現在も困難な課題とされています。その解決策となる「筋電位計測」は筋肉の活動を「見える化」できる優れた技術であるものの、従来の計測システムは多数の電極を体へ貼り付ける必要があるなど、激しい運動時や長時間の計測、多人数同時計測などでは課題がありました。
ミズノはこの課題を解決するため、これまでのアパレルの設計技術や人体計測の知見を生かして「着るだけで筋活動を計測できるウエア」の開発に着手しました。
現在は、スポーツはもちろん、研究や教育、医療分野への展開も見据え、電子部品メーカーであるSMK株式会社(以下、SMK)と共創し、運動中の筋活動を可視化する「筋電位計測ウエア」の開発を進めています。

ミズノとSMKの共創プロセス

ミズノでは長年にわたり、アスリートのパフォーマンス向上に関する研究を行ってきました。その中で、スポーツ時の動きや運動に伴う筋肉の活動の変化、最適なパフォーマンス時の筋肉の働きなどを手軽に測定できる仕組みの必要性を感じていました。
正確な筋活動を計測する「筋電位計測ウエア」の実現には、電極を適切な位置へ配置するアパレル設計技術と、筋電位信号を取得・解析する高度なセンシング技術やアルゴリズムの両立が不可欠であり、本製品は単なるスポーツウエアでも電子機器でもありません。そこで、電子部品メーカーとして高度なセンシング技術に強みを持つSMKと共創することで、アパレル設計とセンシング技術を掛け合わせた「着るだけで筋活動を計測できるウエア」の開発がスタートしました。
開発にあたっては、ミズノが運動中の動きやすさと高精度な計測を両立するアパレル開発を担当し、SMKにはセンシングデバイス開発や解析アルゴリズムの知見を担っていただくことで、両社の強みを生かせる共創体制を構築しています。

これまでのタイツ開発で培った知見を活用

ミズノが担当するアパレル開発においては、これまでのタイツ開発で培ってきた製品開発ノウハウを生かし、素材選定やパターン設計を工夫することで、着用者によらず安定した計測ができるアパレル設計に取り組んでいます。
現在も、耐久性やノイズ低減など、多くの課題に向き合いながら改良を重ねています。

今後の展開

今回開発中の「筋電位計測ウエア」が完成すれば、「ゴルフスイングでどの筋肉が働いているか」や「長時間の運動に伴う身体への負荷により、筋肉の活動がどのように変化していくか」といった、これまで経験や感覚に頼っていた体の使い方をデータとして客観的に把握できるようになり、より効率的なトレーニングやパフォーマンスの向上につながると考えています。
加えて、大学研究におけるデータ収集、教育用途、リハビリテーション分野での活用、さらには労働環境評価など、スポーツ以外のさまざまな分野での活用が期待できます。
ミズノとSMKは、製品開発だけでなくビジネス開発においても共創し、新たな市場の開拓をめざします。

ミズノとSMKがめざすのは、筋肉の状態を、誰もが簡単に把握できる世界です。
ミズノは、これまで把握が難しかった身体内部の情報を可視化し、その価値をスポーツだけでなく研究・教育・医療など幅広い分野へ広げることで、総合スポーツ用品メーカーの枠を超えた新たな価値創出に挑戦していきます。