サプライヤーにおけるCSR状況の把握と改善に向けた取り組み

  • 重要課題

一次サプライヤーにおける監査の実施と是正に向けた取り組み

取引中のサプライヤーCSR監査については、「ミズノCSR調達規程」に基づき、主なサプライヤーである170以上の工場に直接赴き、定期的(3年で一巡)にミズノCSR調達行動規範に定める内容の遵守状況についてモニタリング(CSR監査)を実施しています。モニタリングは、現場監査、書類監査、従業員インタビューにより構成され、通常は複数の監査員が1日~数日かけて行います。遵守状況の確認には、ISO26000をベースとしたグローバルで共通のモニタリングシートを使用し、監査項目を致命的、重大、一般の3段階に分類し、ポイント加算方式で行っています。設備等により監査項目が該当しない場合があるため、該当項目の合計ポイントに対する獲得ポイントの割合を百分率で表しています。問題が発見された場合は、適切な是正措置を共に考え、評価ランクC以下の場合は6か月後に再びフォローアップ監査を行っています。2017年度は43工場の監査を行いました。

CSR監査の流れ


 

1.オープニングミーティング 2.工場監査 3.書類監査 4. 従業員インタビュー 5. クロージングミーティング
監査員から工場の責任者や人事総務担当者、組合長等に対して「ミズノCSR調達ガイドライン」を利用し、監査の主旨を伝えるとともに、スケジュールなどについて説明を行います。 工場内を点検しながら不明な点は随時担当者へ質問。また生産現場だけでなく、食堂や寮にも赴き、安全衛生面や生活環境は守られているかを確かめます。 ※全建屋対象 児童労働の有無や、労働時間や給与、社会保険は適切か、建築や消防に関する書類は揃っているか、環境に関する必要な測定は実施しているかなどを点検します。 労働時間、休暇、賃金、健康診断などについて従業員の方に質問し、工場責任者の証言や書類の内容と一致するか確認します。また、セクハラや差別、虐待といったことがないか確認します。 現場監査と書類チェックの結果をまとめ、工場責任者に監査結果を報告するとともに、今後の改善の計画などを話し合います。詳しい評価は、後日ミズノから連絡します。

2017年度のCSR監査実施状況

サプライヤー数※1 監査対象※2 2015年度
監査実施数
(参考)
2016年度
監査実施数
(参考)
2017年度
監査実施数※3
日本 115 56 15 11 7
中国 151 52

35

17 24
韓国 9 3 3 0 0
台湾 28 7 1 0 0
インドネシア 21 10 2 3 3
ベトナム 43 23 15 8 4
タイ 13 7 2 4 2
フィリピン 4 4 1 1 1
ミャンマー 7 2 3 0 1
カンボジア 10 2 2 1 1
その他 24 9 6 3 0
425 175 85 48 43
(注) 1.2017年4月時点。2016年度からCSR監査対象とする条件を変更した。
  2.新規サプライヤー候補工場への事前監査を含む。
  3.ミズノでは3年で一巡するよう主要工場での監査を実施している。

主なモニタリング内容

ミズノでは、主に以下の項目について監査を行っています。監査項目は、致命的、重大、一般の3段階に分類され、それぞれポイントに重み付けをしています。監査対象工場の設備等で該当する監査項目が若干異なるため、該当する監査項目ポイントの合計を割合で表しています。

監査項目と平均点(2017年度) 

平均点(全体)
人権 児童および未成年労働者 97%
強制労働 99%

結社の自由

94%
差別 98%
懲罰慣行 98%
労働慣行 労働時間 74%
報酬 86%
安全衛生管理システム 89%
安全衛生>職業上の安全衛生 91%
安全衛生>機械及び設備 68%
安全衛生>電気 87%
安全衛生>化学物質 65%
安全衛生>消防 71%
安全衛生>救急処置 76%
安全衛生>飲料水・洗面台・便所 99%
安全衛生>厨房 95%
安全衛生>寮 92%
環境 環境 77%
その他 監査協力姿勢 100%
平均 88%

国別平均点

人権に関する不適合項目について

人権項目に属する、児童および未成年労働者、強制労働者、結社の自由、差別、懲罰慣行の5項目で2017年度の監査で指摘のあった内容とその是正状況を下表に示します。

分類 内容 是正状況
児童および未成年労働者 未成年労働者の当局への登録

未完了1件、追跡中

完了1件
未成年労働者のための健康診断 未完了1件、追跡中
危険な労働環境への未成年労働者の配置 完了2件
強制労働 強制労働/囚人労働の利用がないことの確認

完了1件

すべての労働者が工場と雇用契約を締結 完了1件
勤務時間中の出入り口施錠など、労働者の自由の阻害 未完了1件、追跡中
結社の自由 指摘なし
差別 雇用条件に年齢や性別を限定 完了1件
懲罰慣行 懲罰規則が公正で妥当 未完了1件、追跡中
完了3件

監査結果の評価ランク

ミズノでは、評価指数90点以上を評価ランクA、評価指数80-89点をB、評価指数70-79をC、評価指数69点以下、または、児童労働・強制労働が発見された場合をDとし、監査結果を4段階で評価しています。
2017年度の監査対象工場の評価ランクは以下の通りです。

評価ランク 対象数
A 22
B 16
C 3
D 2
全体 43
 

違反が確認されたサプライヤーの是正状況

不適合が多かった項目

監査で評価の低かった項目は「労働時間」「安全衛生(機会及び設備)」「安全衛生(化学物質)」「環境」「安全衛生(消防)」などでした。具体的には、残業や休日出勤などの長時間労働、機械の危険な部分の保護装置、有害物質の保管や管理方法、消防設備の維持管理などの問題が発見されました。

全体

順位 分類 要求事項 不適合
割合
1 労働時間

工場の労働時間は法的要求事項を満たしているか?

49%
2 安全衛生>機械及び設備 機械の危険な部分に適切な保護装置が設置されているか? 47%
3 安全衛生>化学物質 危険/有害物質は安全かつ厳重に保管されているか? 37%
3 安全衛生>化学物質 適切な個人防護用具(PPE)が労働者に支給されているか? 37%
3 環境 現地の法律または規則によって要求される許可証を持っているか? 37%
4 労働時間 労働者は7日間に1日の休みを取っているか? 35%
4 報酬 すべての労働者に、現地の法律が要求する社会保険が提供されているか? 35%
4 安全衛生>消防 出口および非常口には、標識または表示灯が設置されているか? 35%
4 環境 有害廃棄物は認可された契約業者によって収集・運搬され、処分されているか? 35%
5 安全衛生>消防 適切な非常灯が各工場フロアに設置されているか? 33%
5 環境 有害廃棄物は、適切に管理されているか? 33%

 

不適合項目の是正状況

全体 233 100%
是正済 106 45%
未是正 127 55%
※2017年度CSR監査実施分の2018年4月6日現在の状況

二次・三次サプライヤーにおける対応

ミズノでは、ミズノと直接的な関係をもつ一次サプライヤーにおける人権、労働、環境影響の把握と必要に応じた是正を、第一に優先するべき重要課題として取り組みを進めています。
一次サプライヤーの先の二次・三次サプライヤーについては、全サプライヤーを対象とすることは難しいため、著しい人権、労働、環境影響が発生するリスクの高い領域に焦点を据えた取り組みを進めています。現在、ゴルフクラブのアイアンヘッド等のメッキ、繊維素材の染色、野球グラブやシューズ用の皮革なめし等のリスクが高いと思われる二次・三次のサプライヤーの把握に努めている段階です。
2017年度には、二次・三次サプライヤーの実情を把握するため、日本の金属加工工場とタイの生地染色加工工場を視察しました。
タイの生地染色加工工場では、これまでの監査チェック項目に環境面の事項を追加した内容でCSR監査を実施し、この監査チェック項目の有効性の評価を進めています。引き続きメッキ工場と皮革なめし工場でも同様の手法で有効性を確認していきます。

CSR監査以外での対応

ミズノでは、定期的(3年で一巡)に主なサプライヤーである130以上の工場に直接赴き、ミズノCSR調達行動規範に定める内容の遵守状況についてモニタリング(CSR監査)を実施していますが、特にリスクの高い地域においては、監査以外でもCSR担当者が工場視察で現状確認を行い、是正が必要な場合はアドバイスを行っています。工場視察の際には、ミズノのCSRに対する考え方、またCSRの意義についても説明し、一方的な押し付けではなく、その意義を理解し、納得した上で取り組んでもらえるようにしています。2017年度は、日本とタイの縫製工場、タイの染色工場など計5工場で現地視察を行いました。

現在、ミズノのサプライヤーの多くは東南アジアに立地していますが、現地の急速な経済成長を背景として今まで以上に環境問題や労使紛争などが起こりやすい状況になってきています。このような社会の変化を受け、CSR監査における不適合項目の是正だけでは根本的な人権・労働・環境問題の解決にはつながりにくくなっている中で、今後はCSR監査以外の活動、特に工場のキャパシティ・ビルディング(能力向上)に力を注いでいく必要があると考えています。

2017年度はキャパシティー・ビルディングの取り組みとして仕入先を対象としたCSR調達セミナーを国内2箇所で開催しました。11社21名の皆さんが受講し、CSRとサスティナビリティーに関する世界の潮流とミズノの取り組み、これまでのCSR調達監査で指摘された主要な問題点と是正の進め方について理解を深めていただきました。



ミズノCSRセミナー(左:2018年2月東かがわ市、右:3月ミズノ大阪本社ビル)

IndustriALLとUAゼンセンとの協働

ミズノは、製造委託先工場の労働者の人権保護、労働条件の向上のために共に正当なパートナーとして尊重し協力し合う目的で、2011年にITGLWF:国際繊維被服皮革労組同盟(現在はIndustriALL)、UIゼンセン(現在はUAゼンセン)、ミズノユニオンと「グローバル枠組み協定」に署名しました。この協定締結により、ミズノは締結者を正当なパートナーとして尊重し、ILO:国際労働機関が定める中核的労働基準(結社の自由、団結権の保護、児童労働の廃止など)の適切な実施に向けて取り組んでいます。


 

中国の環境NGO「IPE:公衆環境研究中心とGCA:緑色選択連盟」への協力

中国の環境NGO「IPE:公衆環境研究中心とGCA:緑色選択連盟」は中国の環境汚染改善に向けて取り組んでいる団体ですが、ミズノはサプライチェーンで発生した環境規制や環境監査での違反事例にサプライヤーと協力して対応しています。ミズノは上海ミズノを窓口に積極的にIPEとコミュニケーションを行っており、「IPE:公衆環境研究中心とGCA:緑色選択連盟」が発表する対応状況(CITI指数)ランキングで、全267ブランド中53位となっています。(CITI指標2018年3月時点)

今後の課題

  • CSR調達監査で指摘された問題の是正が重要です。サプライヤーとの対話を通じて是正の促進に引き続き取り組みます。
  • 著しい環境影響を持つ二次・三次サプライヤーを特定し、ミズノのCSR調達への理解を求め、適切な監査内容を決定した上で監査を実施します。
  • 同じ工場が複数のブランドの製品を受託して製造している場合、それぞれのブランドからの監査を受入れ、対応しなければならないといった監査の重複や、要求事項の違いなどに対する改善の要望を受けて、業界団体やその他のイニシアチブで取り組みが進んでいます。ミズノも改善に向けてこれらを研究していきます。