次世代を担う子どもたちの運動能力と体力の向上

  • 重要課題

世界的に、子どもの体力・運動能力は著しい低下傾向が続いており、ケガの増大や生活習慣病の増大にもつながることも懸念されています。子どもの体力低下は、将来世代の健康状態に影響を及ぼすだけでなく、医療費の増加につながるなど、社会全体の活力に影響を及ぼすことが予想され、教育機関や家庭を含む社会全体での取り組みが望まれています。
こうした子どもの体力・運動能力低下の背景として、1)手軽かつ安全に遊べる外遊びの場の減少、2)幼少期に身につけておくべき基本的な動きが発達していない、3)スポーツへの苦手意識、などの要因があります。ミズノは、子どもの運動能力と体力の向上を目的とした独自の運動プログラムを開発し、展開を進めています。

ミズノ独自の運動プログラムの開発:ヘキサスロン

ミズノでは、運動が苦手な子どもでも楽しくスポーツの基本的な動作を習得できる運動遊びメニューと運動能力測定を組み合わせたプログラム「ヘキサスロン」を開発し、日本全国各地の自治体と協働し小学校を始めとした各種施設で提供しています。安全性と機能性を考慮したミズノオリジナルの道具を用い、各自の運動能力に合わせて「走る」、「跳ぶ」、「投げる」の基本動作を習得できるよう構成された「ヘキサスロン」を場所・プログラム・サービスのセットで提供することで、楽しく、かつ着実に子どもたちの体力・運動能力の向上につなげることが可能となっています。
また、児童の投能力の低下傾向は引き続き深刻な課題とされており、2017年に改訂され、2018年から全面実施されている小学校学習指導要領(文部科学省 平成29年告示)では、遠投能力の向上を意図する「投の運動(遊び)」を加えて指導することができるようになりました。そこで、ミズノは小学校1年生を対象とした投の運動遊びプログラム(ヘキサスロン用具を使用)を開発し、体育授業で展開できるよう奈良県内の公立小学校で授業実践を試みました。2018年5月から10月まで、合計6回の授業実践を行った結果、投能力だけでなく投げるフォームも改善されていることが確認できました。この結果は、2019年3月に開催された第17回日本発育発達学会で発表しました。

ミズノ独自の運動プログラムの開発:その他

子どもの運動能力・体力の向上のためには、幼少期から身体を動かすことに慣れ親しみ、スポーツへの苦手意識を克服することが重要です。
ミズノでは、幼少期に身につけておくべき基本的な動きを短期集中で克服し、運動の楽しさを味わい、運動が好きな子どもを増やすことを目指し、スポーツに関する知識・経験豊かなミズノスタッフが講師となり「ミズノ・スポーツ塾」や「運動会必勝塾」などのプログラムを各地で開催しています。
また、3歳~5歳の子どもの親子対象に、その年代で覚えてほしい動きを入れ込んだ運動遊びプログラム「PLAY ! CIRCUS」を展開しています。「PLAY ! CIRCUS」は、サーカスの世界観で、サーカスの団員となり、団長やピエロと一緒に楽しむ60分のプログラムです。

子どもの運動能力・体力の向上に関するプログラムの実績

ヘキサスロン

(内容)

スポーツの基本的な動作を楽しく習得できるメニューと運動能力測定を組み合わせたプログラム

(実績)

日本:2018年度は8校が導入、150回開催し、5,656名が参加

ベトナム:「ミズノ・ヘキサスロン運動プログラム普及促進」活動を実施。
      ベトナム63第一級行政区(58の省と5つの中央直轄市)の126校の
      小学校に順次導入

ミズノ流忍者学校

(内容)

幼少期の成長に必要な「走る」、「跳ぶ」、「投げる」などの36の基本動作を盛り込み、忍者の修行に見立てたストーリー型遊び運動プログラム

(実績)

2018年度は85か所で開催し、延べ5,445名が参加

ミズノ・スポーツ塾

(内容)

マット運動・鉄棒・跳び箱などを取り入れた、運動が苦手な子どもたちのためのプログラム

(実績)

2018年度は1,189回開催し、9,104名が参加

運動会必勝塾

(内容)

運動会のリレーやかけっこで1等賞をとるためのレッスン体験型プログラム

(実績)

2018年度は10回開催し、160名が参加

 

ミズノ・スポーツ塾
ミズノ流忍者学校
ヘキサスロン
運動会必勝塾
PLAY ! CIRCUS

その他の取り組み: 奈良県橿原市における事例

未来のアスリートを育成する~子ども体力向上プロジェクト「キッズヘキサスロン」事業の取り組み

橿原市スポーツ推進課
熊本 光伸  課長

橿原市は、文部科学省による全国体力測定で奈良県が常に下位の結果に位置している現状から、当市のスポーツ施設の指定管理者であるミズノスポーツサービス㈱と協同で、子どもたちに「走る」「跳ぶ」「投げる」の基本動作を正しく教えることができるツールとして、ミズノの「ヘキサスロン」を、2014年度から4ヵ年で市内の16小学校に導入し、子ども体力向上プロジェクト「キッズヘキサスロン」事業に取り組みました。導入した学校では年度初めと年度末に体力測定を行うことで、子どもたちの運動能力の向上に成果があったことが伺えます。
しかし、導入からの時間の経過と伴に、使用頻度の多い学校と少ない学校の二極化や、使用方法の不明確であるという課題が発生したことから、2018年度、全ての小学校で事業が効果的に行なえるように、市内の小学校1校(低学年)を選定し、ワイヤレス脈拍計「MiKuHa」を用いプログラムの効果を確認しながら、体育の指導要領に沿ったプログラム教本を作成しました。
今年度から、完成した教本を全ての小学校で導入し、事業を継続して行ないます。マニュアル化することで、学校間の使用に関する格差が解消され、より一層の事業の効果が発揮されることを期待しています。


ワイヤレス脈拍計「MiKuHa」 

その他の取り組み:ベトナムでの「ミズノ・ヘキサスロン運動プログラム」普及促進事業

ミズノは、2015 年からベトナムで「ミズノ・ヘキサスロン運動プログラム」普及促進事業に取り組んできました。ベトナムの義務教育期間における体育の授業時間は、先進国に比べ非常に少なく、運動プログラムも画一的で、「走る」「投げる」「跳ぶ」などのスポーツの基本動作の要素が十分に考慮されていないことが課題でした。
2017 年に、ベトナム国立教育科学研究所と「ミズノ・ヘキサスロン運動プログラムの導入と普及」に関する協力覚書を締結し、5直轄都市(ハノイ・ハイフォン・ダナン・ホーチミン・カントー)で、約 500 人の教育行政関係者や小学校教師に対し、実証活動・人材育成を目的としたワークショップセミナーを実施しました。
2018年9月に、ベトナム教育訓練省と「ミズノ・ヘキサスロン運動プログラム導入と定着に関する協力覚書」を締結しました。 今後、ベトナム初等義務教育における新学習指導要領に、「ミズノ・ヘキサスロン運動プログラム」が正式に導入され、ベトナムの小学校における体育教育がさらに充実できるように、当該活動を続けていきます。

ベトナム教育訓練省と「ミズノ・ヘキサスロン運動プログラム導入と定着に関する協力覚書」締結
ミズノプレイリーダーによる指導の様子
(ハノイの小学校) 
ヘキサスロンを楽しむベトナムの子どもたち

その他の取り組み: “ミズノプレイリーダー”

ミズノは、子どもがあそびの場でいきいきとあそべるよう環境をつくり、子どもを見守る人、「プレイリーダー」を育成しています。育成カリキュラムには、子どもの発育発達特性を理解するだけでなく、どうすれば子どもの興味を引き出し、遊び心を誘い出すかを考え、実践するプログラムが盛り込まれています。 ミズノプレイリーダー育成制度は、1級から3級まで3段階の等級を設けています。3級では「ミズノプレイリーダーとは?」を理解してもらうことを目標にしています。2級では、知識とプレイリードスキルを評価し、認定しています。2018年度からは、社内だけでなく社外でも育成を始めています。

ミズノプレイリーダー

その他の取り組み:苦手の克服 逆上がり練習器

ミズノの子会社である、スポーツ機器の製造・販売を行うセノーでは、 これまで、小学生(及び小学校教員養成大学)向けの逆上がり練習器『くるっと』を販売、イベントなどでご紹介をしてきましたが、「小学校に上がる前に逆上がりを克服したい。」というご要望が多く、 幼稚園生でも使える『逆上がり練習器くるっと SSサイズ』と移動式低鉄棒を開発しました。
多くの子どもが逆上がりができないことで運動嫌いになる負のスパイラルを、この製品を体験してもらう ことで克服し、長くスポーツに親しんでもらえる取り組みを進めています。

逆上がり練習機SSサイズ、移動式低鉄棒

今後の課題

現代の子どもたちには、3つの間がないといわれています。
遊ぶ「空間」、「仲間」、「時間」です。
また、保護者も「子どもとの遊び方がわからない。」といった声も耳にします。
ミズノは、子どもがいきいきと遊べるように環境をつくり、またそれを見守る人として 「ミズノプレイリーダー」の育成を行っています。プレイリーダーは、おもしろく夢中になる遊びや運動を届けて、子どもたちが主体となって子ども同士で遊べるように環境を作っています。ミズノは、このプレイリーダーを広く社内外で普及させ、運動遊びを通じて子どもたちの健全な「ココロ」と「カラダ」作りを支援したいと考えています。