製品における環境影響の緩和

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基本的な考え方

ミズノは、中期・長期の環境目標達成に向け、各プロダクト部門ごとに代表的な製品においてライフサイクルアセスメント(LCA)を実施しています。原材料の調達から廃棄に至るまでの製品のライフサイクルにおける環境負荷を分析・把握し、ライフサイクル全体での環境負荷の緩和を推進しています。
原材料の調達においては、リサイクル素材や植物由来材料を採用し、耐久性の向上やメンテナンス、リペアによる製品の長寿命化にも取り組んでいます。

商品ライフサイクルにおける環境負荷の把握

ミズノは、商品ライフサイクル(原材料調達~製造~輸送・販売~使用~廃棄)から排出されるCO2をオフセット(排出量の埋め合わせ)する初めてのランニングシューズ「WAVE NEO COLLECTION(ウエーブネオコレクション)」を2022年9月に世界同時発売しました。
WAVE NEO COLLECTIONは、フルマラソンにも使用可能なパフォーマンスランニングシューズの機能をそのままに、環境への負荷を低減するシューズを生み出すことを目指して企画・開発しました。このシューズは、原材料にリサイクルポリエステルや植物由来材料など、環境に配慮した素材を使用することでCO2排出量を抑制し、またアッパーニット材料を無染色とすることで水資源を保全し、環境負荷を低減しています。
さらに、これらのシューズの商品ライフサイクルで排出されるCO2を吸収することを目的として、米国の National Forest Foundation(米国森林基金)と協力し、米国ジョージア州 チャタフーチにおいて、ロングパインツリー約10万本の植林を2022年1月から2月に実施しました。これらの樹木は、今後90年近い歳月にわたり、大気中のCO2を吸収し続けます。これにより、今期全世界で販売される「WAVE NEO COLLECTION」の商品ライフサイクルにおけるCO2排出量を植林によるCO2吸収量で埋め合わせ※、ミズノ史上初めてCO2をオフセットする商品となります。

※ 商品ライフサイクルにおけるCO2排出量と植林によるCO2吸収量に関しては、認証機関DNVビジネス・アシュアランス・ジャパン株式会社による第三者検証を受けています。

DNVによる確認の結果はこちらをご参照ください。

さらにミズノの報告もこちらで読むことができます。

写真:WAVE NEO COLLECTIONのパフォーマンスランニングシューズ
写真:認証機関DNVビジネス・アシュアランス・ジャパン株式会社による第三者検証

WAVE NEO COLLECTION のさらなる詳細についてはこちらをご参照ください

原材料の使用とリサイクル

ミズノでは、製品の種類が多岐にわたるため、製品に使用する原材料の種類を全てリストアップすることは困難と判断し、主要なプロダクトであるシューズとアパレルで使用している主な原材料について報告します。また、原材料には、植物由来原料やリサイクル原料なども採用しています。

シューズ:リサイクルポリエステルをアッパーに採用、植物由来材料(Pebax® Rnew®/Rilsan®)をウェーブプレートに使用、染色しないアッパーニット材料を採用、ミッドソールと中敷きに藻類ベースの素材「BLOOM」を採用するなど

アパレル:ペットボトルをリサイクルした素材、植物由来合成繊維、生分解性合成繊維、米の籾殻を再利用した素材など

一方で、原材料や製品、梱包材などのリサイクルやリユースおよび再生利用の取り組みも進めています。例えば、廃棄プラスチックフィルムや使用済みペットボトルキャップを再生した素材を、一部の国内生産スポーツアパレルの包装材として使用を開始しました。2022年6月から順次切り替えを進め、1年間で約104万点のアパレル商品の包装を本リサイクル素材に切り替えます。一包装あたり約98%の素材が再生素材となることから、CO2排出量を年間29.6トン削減できる見込みです。

人工芝の利用によるマイクロプラスチックの流出を抑制

ミズノは、快適なスポーツ環境を提供するため人工芝に関わる商品を開発・販売する事業を行っており、その事業を通じた環境保全にも取り組んでいます。特に近年、人工芝由来のマイクロプラスチックが海洋ゴミになることが問題の一つとして挙げられています。

●ゴムチップの飛散を抑える人工芝「MS CRAFT」

ミズノは、ゴムチップの飛散が少なく、流出しにくい特殊捲縮加工パイル(芝葉)を使った人工芝「MS CRAFT」を開発し、マイクロプラスチック流出の抑制に貢献します。

MS CRAFTは、特殊捲縮加工パイルを採用しています。一般的な直毛型ロングパイルの人工芝と比べて、捲縮加工されたパイルの量を最適化することで、降雨やボールのバウンド時等の充填材の飛散を抑制します。この技術は、令和4年度環境省環境技術実証事業(ETV事業)の気候変動対策技術領域および水・土壌環境保全技術領域で実証されました。

写真:独自の特殊捲縮加工パイル
写真:環境技術実証事業ETV環境省

●樹脂を使わない人工芝グラウンド用ライン塗料

ミズノは、「人工芝グラウンドでも、自由にラインを引いて、イベントが終わればきれいにラインを消したい」というご要望にお応えするため、水で落とせる人工芝グラウンド用水性ライン塗料「エコメルトライン」を開発しました。

一般的な塗料には、耐久性・定着性を高めるために樹脂(プラスチック)が使用されるケースが多いですが、「エコメルトライン」は樹脂を使用しておらず、水で流してもマイクロプラスチックの発生原因にはなりません。また、「エコメルトライン」は、揮発性有機化合物などを使用していない素材で作られた中性(ph7.5)の塗料です。ラインを落とすために特殊な薬剤も使用せず、人工芝にも残りにくいため、安心して繰り返し利用できます。

エコメルトラインによる白線

エコメルトラインによる白線(イメージ)

茶殻をリサイクルした人工芝の充填材の開発

ミズノは、株式会社伊藤園(以下、伊藤園)と共同で、伊藤園独自の「茶殻リサイクルシステム※1」を活用し、人工芝の充填材「Field Chip G(Greentea)」を開発しました。

「Field Chip G」は、ロングパイル人工芝サッカー場1面で全量使用した場合、「お~いお茶」525mlペットボトル約43万本分の茶殻を配合しています。茶殻にはお茶の樹木が吸収した二酸化炭素が蓄えられているため、茶殻をリサイクルした本製品はサッカー場1面あたり、大気中にある約4.3t-CO2の二酸化炭素を削減できる計算となります※2。さらに、黒ゴムチップの充填材と比較してゴム臭がなく、表面温度の上昇を約7℃抑制することができます。

現在、ミズノ直営施設の学童保育施設「あそりーとAFTER SCHOOL」(東京都)のPlay Groundや常盤橋(東京都)開発エリアの一部、橿原運動公園(奈良県)、帝京長岡高等学校(新潟県)のサッカーグラウンドに採用されており、環境に配慮するとともに、人工芝の快適な利用に貢献しています。

※1 茶殻リサイクルシステム

※2 ヤナコHCNコーダー MT-700HCN型(ヤナコ分析工業㈱製)により炭素量を測定

写真:茶殻をリサイクルした人工芝

企業ユニフォームの取り組み

ミズノは、スポーツシーンで培った機能性を応用した企業ユニフォームを提供し、建設・製造・運輸業など、さまざまなワークシーンで快適な労働環境をサポートしています。近年の企業活動においては、従業員などの健康管理を経営的な視点で捉え、戦略的に実施する健康経営に取り組む企業が増えており、従業員のユニフォームにも安全性・快適性を重視する考えが広がっています。さらに、企業の環境配慮への取り組みを支援するため、リサイクルポリエステルや植物由来ポリエステルなどの環境に配慮した材料の活用や、使用済みユニフォームの回収リサイクルについても取り組んでいます。回収したユニフォームは、自動車内装材などの産業資材やポリエステル繊維として再生利用されています。

製造工程で生まれた製品の端材を有効活用する取り組み

●木製野球バットの端材利用

ミズノの主力製品の一つが木製野球バットです。木材は自然物であるため、節があったりして、製造工程の途中でバットとしては不適格材として利用されない端材が発生します。ミズノではこれらの端材を有効活用するため、外部の協力会社の力を借りて、木製キーホルダーなどのさまざまなものに加工し、新たなものに生まれ変わらせています。

木製野球バットの端材利用

木製野球バットの端材利用についてはこちらをご参照ください

●野球グラブ残革の利用

ミミズノの主力製品の一つが野球グラブです。素材のシワやキズなどで、野球グラブとしては使用できない革が未利用のまま大量に残ってしまうことが一つの課題でした。そこでミズノでは、それらの残革を財布や名刺入れなどの小物類に生まれ変わらせて販売する活動を続けています。

野球グラブ残革の利用

野球グラブ残革の利用についてはこちらをご参照ください

環境に配慮した原材料の研究開発

ミズノは、石油由来の原材料に代わる非石油由来の原材料について研究開発を実施しています。なかでも、植物性由来の原材料として有力な候補と考えているセルロースナノファイバーなどのナノ材料の研究開発を行っています。

今後の課題

ミズノの事業活動全体の温室効果ガス排出量のうち、その他の間接的な排出であるScope3の占める割合は約97%です。特に「購入した製品・サービス」が全体の約80%を占めるため、製品を通じた温室効果ガス排出量の削減が重要と認識しています。今後もは温室効果ガス排出量の低減に向けた製品の企画開発を推進します。