製品の安全と品質の確保
基本的な考え方
ミズノは、お客さまに製品やサービスを安全かつ安心してお使いいただくため、適正な品質の確保が重要な責務であると考えています。また、お客さまが適切に製品を選択するための十分な情報提供を行うことや、お客さまからいただくさまざまなご意見に対応するとともに、継続的な改善に生かすことも大切だと考えています。創業者である水野利八の「ええもんつくんなはれや」と言う言葉を、ミズノのモノづくりを根底から支えるものとしてこれからも大事にし、継続的に品質の維持向上に取り組んでいきます。
製品の安全・品質管理のための仕組み
ミズノは、製品の安全と品質管理のため、各種レビューや検査を実施しています。各種レビューでは、製品の設計、使用する材料、使用時の安全評価、表示物など、品質に関するさまざまな項目をチェックしています。新製品製造開始前のデザインレビューでは、チェックリストに基づき、構造や材料、技術面について確認作業を行います。また、製造後、工場からの製品出荷前には出荷前検査を行い、単品不良がないか最終チェックをしています。
全ての製品はアイテムごとに作成した製品規格および材料品質基準書に従って品質を確保します。これらの製品規格や材料基準は、各国の法律や規格などのルールをベースに、当社が長年のモノづくりで培ってきたノウハウとお客さまのお声を蓄積したものです。
重製品の設計・開発部門別デザインレビュー(DR)実施案
グローバルイクイップメントプロダクト(以下、EPD) 開発課およびミズノテクニクス(株)(以下、MT)が設計・開発を担当する製品の場合
| レビュー | DR1 | DR2 | セーフティレビュー(DR2と兼ねる場合有) | DR3 | DR4 |
|---|---|---|---|---|---|
| 対象サンプル | デザイン画・プロトサンプル 設計案・金型発注指示 |
カウンター会議サンプル | 設計サンプル 評価後現物 |
最終決定会議用サンプル | 標準見本(CFMサンプル) |
| 主催部門 | EPD企画生産課 | EPD開発課 | EPD開発課 | EPD開発課 | MTソーシング課 |
| 決裁者 | EPD企画生産課 課長 | EPD企画生産課 課長 | EPD開発課 課長 EPD企画開発課 課長 |
EPD企画生産課 課長 EPD企画開発課 課長 MTソーシング課長 |
EPD企画生産課 課長 |
| 実施時期 | 次期企画商品を決定する時期 | カウンター会議前後 | DR3の前 | 量産試作品作成前に実施 | 標準見本完成後 |
| 対象アイテム | すべての新製品 | 新規性A | EPD開発担当商品 | すべての新製品 | すべての新製品 |
| 審査項目 | ① 開発品の特徴
② 市場性/競争力 ③ 販売価格/収益性 ④ 発売時期 ⑤ 設計開発上の注意点 ⑥ クリアすべき法規/ルールの確認 ⑦ SDGsへの貢献 ⑧ 過去トラブル是正確認 |
① 開発品の機能/構造評価結果確認
② コスト確認 ③ 開発スケジュール進捗確認 ④ 法規/ルール/知財のクリア確認 ⑤ SDGs貢献の根拠確認 ⑥ 過去トラブル是正確認 ⑦ その他DR1指摘事項 |
① 機能性
② 安全性・耐久性 ③ 新技術/新材料/新製法への信頼性確認 ④ パテント |
① 試作品の強度/耐久性評価結果
② 新技術/新材料/新製法への信頼性確認 ③ 法規/ルール/知財のクリア確認 ④ 生産工場/コスト ⑤ 全体スケジュール ⑥ 副資材の有無、表現方法確認スケジュール進捗確認 ⑦ 化学物質の確認 ⑧ 前DRからの変更箇所の確認 ⑨ ラインアップ詳細表などの仮仕様書するためのベース資料との整合性確認 ⑩ DR3開催までに、当該品の生産工程、急所点等、MTC・MTソーシングメンバーが把握しておくこと |
① 標準見本の確
② 製品仕様書/見本の整合性確認 *確定したCFMサンプルはミズノ企画、生産、QC、工場担当者がサインし最低1年間保管する。 ③ *製品の品質表示部分の最終確認。 表示全ての項目機能性表示等を製品の完全な状態で確認し、表示間違いを予防する。 量産部品での性能評価の要否確認 |
| 基本のレビュワー (随時関係者の追加召集可) |
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当社の製品の多くは OEM 契約を締結した外部の委託先工場で製造しており、そこでの品質の確保も重要です。新たに委託先として取引する工場に対しては、当社が指定する品質を満たす製品が製造されることを確実なものとするため、各プロダクト部門の担当者が工場の品質能力を診断し、当社の基準に合格しない限り OEM 契約の締結をしないこととしています。取引中の工場に対してもQCパトロールとして、主要アイテムを生産する工場を定期的に訪問し、品質管理状況を確認・指導しています。2024年度も現地訪問やWeb会議システムを活用して、海外製造工場のQCパトロールやQA監査を行いました。また、定期的に開催しているQC会議において、市場における品質状態の確認および発生した不良品の再発防止策の検討と徹底を行っています。
なお、重大な不良品発生時には、経済産業省、消費者庁などの関係行政機関に報告し、必要に応じて広く告知するとともに製品を自主的にリコールするなど不良品の拡大防止に努めています。新聞社告などを必要とする重大な不良品は2005年度以降発生していません。
2025年度も引き続き、グローバルな視点における品質保証体制の整備と人材の育成を通じて安全で高品質な製品の提供に取り組んでいきます。
QA監査
QA監査
QC会議
全社品質保証会議
新製品開発時における品質機能展開(QFD)の活用
ミズノは、新製品の開発時にJIS規格「マネジメントシステムのパフォーマンス改善―品質機能展開の指針」(JIS Q9025:2003)における品質機能展開(QFD※)を活用した品質レビューを実施しています。QFDは、「製品に対する品質目標を実現するために様々な変換及び展開を用いる方法論」と定義されています。
顧客が要求する機能を三段階に展開した要求品質展開表と、要求品質を設計するための定量的測定可能な特性を示した品質特性展開表からなる、品質機能特性図を作成し、顧客ニーズと品質特性の関係を明確にします。これにより、製品に要求される品質を確実に設計に落とし込むことを目的としています。
まずは一部の製品開発から導入を始めていますが、今後は製品のソフト面や、製品を通じた運動プログラムの開発など、より多くの製品・サービスに対象を拡大していきます。
※ QFD(Quality Function Deployment)
ISO9001の認証
ミズノグループでは、安全性と品質の確保のため、品質管理の国際規格ISO9001の認証を取得し継続維持しています。
| 取得年 | 取得事業所 |
|---|---|
| 2001年 | セノー株式会社 |
| 2004年 | 上海ミズノ |
| 2006年 | ミズノ テクニクス株式会社 |
| 台湾ミズノ |
製品に含まれる制限化学物質の管理
ミズノは、安全で適正な品質の製品を提供するため、製造および販売する製品における制限化学物質管理の遵守事項を「化学物質管理規定」として定め、運用しています。この規定に基づき、各国法などで禁止・制限されている化学物質※1とその許容基準などをリスト化し、製品について調査・確認を行った上で商品化しています。
品質保証室と法務室は化学物質管理に必要な規程や手順などを整備し、製品を管轄する各プロダクト部門(フットウエア、アパレル、イクイップメント)の活動を支援しています。
サプライヤーに対しては、使用する可能性のある化学物質の種類に応じて、化学物質調査表による報告や基準適合誓約書の提出を求めています。また、製品や素材の一部について第三者試験機関による抜き取り検査※2を実施し、製品や素材の安全性を検証しています。化学物質調査報告や分析結果で懸念物質が特定された場合は、環境影響の低減を求め仕入先に申し入れを行っています。また、委託先の生産現場で使用されている化学物質の取り扱いが適正に行われるよう改善提案するほか、環境影響が低い化学物質への代替を改善提案しています。
※1 特に危険度の高い制限化学物質として代表的なものは、POPs条約、「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(第一種特定)、「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」、欧州REACH規則付属書14、17に規定される化学物質等
※2 特定芳香族アミンを生成する特定アゾ色素の不含有確認試験、欧州向け製品について欧州REACH規則の遵守確認試験など
AFIRMへの加盟
ミズノは2019年1月、制限化学物質の運用の簡易化と管理の強化を目的に、国際的な制限化学物質リスト管理団体であるAFIRM※に加盟しました。
AFIRMからの情報を基に、国際基準の制限化学物質リストを作成し、サプライチェーンにおいて製品に残留する化学物質のリスク管理を行っています。また、業界内での情報共有や連携を進め、コンプライアンスの向上を図っていきます。
当社は株式会社アシックスと協力し、制限する化学物質の日本語での呼称を統一しました。これにより、日本でのサプライチェーン内における制限化学物質の管理が容易になることが期待できます。また、AFIRMが発行する種々の資料の日本語版を共同で作成し、AFIRMのホームページに公開しました。これらの資料は、AFIRM のメンバーでなくても自由に閲覧・使用することが可能です。今後も日本における製品残留化学物質の管理レベル向上に貢献していきます。
当社は、AFIRMの資料に基づき、国際基準の「ミズノ制限物質リスト」を作成しています。これは製品における制限物質リストと、製品のパッケージ類を対象とした制限物質リストの二つのリストで構成しています。
2024度は「ミズノ制限物質リスト2024」を作成し、サプライヤーに配布しました。
※ AFIRM:Apparel and Footwear International RSL Management Group (RSL=Restricted Substances List)
AFIRMの代表的な加盟企業:adidas, Amazon, ASICS, Descente, Decathlon, Esprit, Fast Retailing, Hugo Boss, Lacoste, New Balance, NIKE,Inc.,Pentland, PUMA, Skechers, Un-der Armour など(社名は公式ウェブサイト[https://afirm-group.com/members/]の表記に準ずる)
従業員の意識向上に向けた取り組み
品質に関する教育の実施
ミズノは、製品の安全と品質を担うのは、ミズノグループ従業員一人ひとりの意識と実践であり、品質管理は特定の部門ではなくグループ組織全体で取り組むものと考えています。創業者・水野利八の「ええもんつくんなはれや」の精神を根付かせ、組織的かつ継続的に品質の維持向上に取り組むため「ミズノ品質教育大綱」を制定し、品質保証室が開催する全社品質教育と、各部門で行う部門別品質教育を実施しています。今後も品質に関する従業員教育を体系的・計画的に実施していきます。
品質に関する主な研修[*d]
| 全社品質講座 | |
|---|---|
| 内容 | 品質管理に関する基本的ルールの知識習得 |
| 対象 | プロダクト部門、開発部門、事業部、営業部、間接部門など、グループ各社 |
| 実績 | 2024年度は、「顧客対応教育」をテーマに、2講座開催、延べ473人が参加しました。また2021年度から実施している録画視聴による参加形式の設定により、国内各事業所に所属するさまざまな部門から参加がありました。 |
| QC検定受験勉強会 | |
| 内容 | 品質管理スキルおよび問題解決力向上のための自己啓発促進としてミズノ株式会社およびミズノ テクニクス株式会社、セノー株式会社、シャープ産業株式会社で実施 |
| 対象 | プロダクト部門、開発部門、事業部、営業部、製造部門等 |
| 実績 | 2025年3月現在でQC検定資格保有者320人(在職者) |
| プロダクト部門品質教育 | |
| 内容 | 3つのプロダクト部門それぞれが主催する品質関連専門知識向上のための実施 |
| 対象 | プロダクト部門の企画、生産、ソーシング、開発担当等 |
| 実績 | 2024年度は延べ119講座、延べ2,467人参加
プロダクト部門において、それぞれの担当する製品の専門知識教育を集合教育+オンライン+録画視聴による方法で開催しました。 |
ミズノ テクニクス株式会社~品質を向上させていく仕組み~
ミズノ テクニクス株式会社の有するモノづくりの技術やノウハウは、プロ選手・プロチームからの信頼も厚く、その期待に応え続けるためには、従業員一人一人の一層の技術向上と技の伝承が欠かせません。そのため、ミズノ テクニクスでは、ISO9001をベースに品質を向上させていく仕組みを構築し、運用しています。
- 2カ月に一回の「QMS (Quality Management System:品質マネジメントシステム) 推進委員会」:各課で選任された「QMS 推進委員」に対して QMS 事項の報告と教育を実施
- 『ミズノ テクニクス品質教育』:年間計画を立案し品質保証課で資料を作成。2024年度実績では7回15コマの教育を実施し、延べ2,800人が参加しました。
品質月間の取り組み
ミズノは、毎年11月を品質月間と定め、グループ全従業員を対象にさまざまな品質活動を行っています。2024年度は、品質に関するフォトコンテストの募集(参加者136人)と、「お客様対応」教育の配信(参加者509人)を実施し、延べ645人が活動に参加しました。
これらの活動は、従業員が当社の製品・サービスの品質について改めて考える機会となっており、品質向上や顧客満足の向上につながっています。
品質を支える技術の伝承
ミズノの品質へのこだわりを支えるのが、当社製品の製造を多く担うミズノ テクニクス株式会社における改善活動の取り組みです。
多くのスポーツ用品が海外で生産される中、日本でモノを造ることにこだわり続ける理由は、市場のグローバル化や消費者ニーズの個別化、情報化時代の目まぐるしいトレンドの変化に対応するため、多種多様な製品を、必要に応じた量だけ生産・供給できる「変種変量生産」を追求するためです。
標準作業手順書(SOP)を整備し、その「標準」を元に作業員のトレーニングを行い、多能工化(一人の従業員が複数の業務を担えるマルチスキル化)を進めるとともに、知恵を絞った徹底的なムダの排除で生産性の向上を図ることにより、モノづくり人材の育成を目指しています。
また、アスリートを支える道具を造る職人(マイスター・クラフトマン)の存在は、創業者精神である『ええもんつくんなはれや』の哲学を社内に継承しています。
今後の課題
- 引き続き、各種レビューの精度向上と効率化を通じて、不良品発生の未然防止を図ります。
- 新規市場への参入などによる取り扱い製品の多様化やサプライチェーンの複雑化に対応すべく、より柔軟な品質保証体制の構築を検討しています。
- 世界的な化学物質規制強化の動きに対応すべく、海外グループ会社と連携したグローバル品質保証体制の構築を進めます。
- 安全で高品質な製品を提供するための品質知識教育は、多様な勤務体系に対応した習得の機会を設定していきます。