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高強度を備えたトウプリプレグを開発

「MIRAI」用高圧水素タンク向けトウプリプレグ

トヨタ自動車株式会社

トヨタ自動車が発売した、量産型として世界初のセダン型燃料電池自動車「MIRAI」。
この未来を象徴する自動車の水素を貯蔵するタンクの外殻部分に、ミズノテクニクスが開発した製品「トウプリプレグ」が使用されています。

「トウプリプレグ」とは、髪の毛状の細いカーボン繊維を束ねたものを「トウ」と呼び、そのトウに樹脂を含浸させたものです。ミズノテクニクスでは、スポーツ用品の製造にトウプリプレグを使用していますが、従来は他社から調達したトウプリプレグを使用していました。

そんなトウプリプレグの自社製造開発を行うきっかけは、あるクライアントからこれまでに無いトウプリプレグの製造に関する相談をいただいたところから始まりました。クライアントが求めるトウプリプレグの一番のポイントは、従来製品にはなかった危険な水素を安全に貯蔵できるほどの「強度」。

クライアントから求められる強度を実現したトウプリプレグを生み出すために、ミズノテクニクスの技術者たちは引っ張ると回転しようとするカーボン繊維の性質を抑えながら、均一に引き揃える技術を開発。この技術を用いて作られる高精度のトウに樹脂を含浸させることで、カーボン繊維が本来備えている強度を最大限に発揮できる高強度の「トウプリプレグ」を作りだしました。
開発の成功には、スポーツ製品の製造によって蓄積されたカーボンを扱う知見とノウハウが活きました。

これから目指すところも明確です。燃料電池自動車「MIRAI」はプロトタイプではなく量産車。今後は、「MIRAI」の量産スピードに対応できる供給体制の構築に努める予定です。量産体制が整えば、トウプリプレグ自体は容器などに使われる素材のため、軽さと強度を求められる既存の金属タンクなどに代わる素材として需要が高まってくると考えています。