従来、スポーツ用の義足板バネ(ブレード)は、記録の更新や競技会での順位を競うトップアスリート向けのものばかりでした。
歩くことを目的にした日常用義足では走れない上、走ることを可能にするスポーツ用義足板バネは、高価でメンテナンスや調整が難しいとされています。そのため一般の下肢切断者は、走る動きを伴うスポーツを楽しむことを諦めるしかないのが現実でした。

そんな中、2021年の国際大会では、ミズノと総合福祉機器メーカーの今仙技術研究所が共同開発したトップアスリート向けスポーツ義足板バネ「KATANAΣ(カタナシグマ)」を履いた選手が出場し、日本の義足板バネ技術を世界に披露しました。さらにトップ選手向け義足板バネを開発した際に得られたノウハウを生かし、義足を装着して初めて走る人を対象としたエントリー層モデル「KATANAα(カタナアルファ)」を開発しました。「KATANAα」は日常用義足から簡単に交換できる上、従来のスポーツ用義足板バネよりもリーズナブルな価格を実現しています。これにより下肢切断者も気軽に走る動きを伴うスポーツを楽しめるようになります。

ミズノが管理・運営している足立区総合スポーツセンター(東京都足立区)には、障がいの有無に関係なくスポーツを楽しめる場所「スペシャルクライフコート」があります。

スペシャルクライフコートとは、オランダの元サッカー選手ヨハン・クライフ氏が設立した「ヨハン・クライフ財団※1」が世界各国に設置しているバリアフリー対応の多目的スポーツ施設で、アジア圏では足立区※2総合スポーツセンターに初めて設置されました。

※1 子どもにスポーツを楽しむ機会を与えることを目的として、オランダの元サッカー選手ヨハン・クライフ氏が1997年に設立した財団
※2 足立区は、2017年からオランダ連携事業「Game Changerプロジェクト-パラスポーツで社会を変える-」プロジェクトを開始しており、パラスポーツの力を活用して地域における社会課題の解決をはかる取組を進めています。

江戸川区は、障がいのある方のスポーツ実施率向上を目指し、パラスポーツの先進国であるオランダを参考に「オランダクラブ」事業を展開し、継続的に運動ができる教室事業などを実施しています。

ミズノは、管理・運営をしている江戸川区総合体育館において、障がいのある方でも継続的に運動ができるプログラムを提供しています。
障がいの有無に関係なく、小学生以上であれば参加ができるボッチャレベルアップ教室や、障がいのある方が参加できる、なかよし運動教室、エアロビクス、水泳、バスケットボールの教室を開催しています。
講師は、障がいのある方を長年指導したり、特別支援学校教諭の方など、指導に実績を持つ方ばかりで、現地に勤務するミズノスポーツサービス株式会社のスタッフも障がいのある方にスポーツを楽しんでいただくため、「初級障がい者スポーツ指導員」の資格を取得しています。

ミズノは、地域と一体となって、施設におけるスポーツ教室などの場の提供と、それらをサポートする障がい者スポーツ指導員の活動を通じて、いつでも、障がいの有無に関係なく誰もが、自由にスポーツを楽しめる豊かな未来を育んでいきます。

私たちは、総合福祉機器メーカーである今仙技術研究所(岐阜県・日本)と共同で、スポーツ用義足の板バネ開発に取り組んでいます。スポーツ用義足の板バネは着用される選手の障がいの種類や程度、パフォーマンスにより様々なフィッティングが必要です。

野球やゴルフなどの用具開発で長年培ってきたカーボン加工技術やその他様々な競技スポーツのノウハウを駆使して、パラアスリートがより高いパフォーマンスを出せるよう開発を進めています。

開発された板バネは、日本の女子トップパラ陸上選手である髙桑早生選手(NTT東日本、義足T64クラス100m、200mおよび走り幅跳び)が使用しています。

私たちが持つ独自の技術と、志をともにする私たちのパートナーの力を融合させ、スポーツを愛する全ての人を支え、一歩先に進みたい人々の想いを実現することに貢献します。