セルロースナノファイバー(CNF)を利用し、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の高強度化に成功
軽量かつ高強度を特性とする炭素繊維強化プラスチック(CFRP)は、ゴルフクラブのシャフトや釣竿などから実用化が進み、1990年代より航空機、自動車といった産業用用途が拡大している注目の材料です。ミズノでもゴルフクラブのシャフトなど、CFRPを使用したさまざまな製品を展開しています。
セルロースナノファイバー(CNF)は、植物由来でありながらも軽量、高強度、高弾性率、低線膨張率といった特徴を備えた日本が世界をリードするナノ材料のひとつです。しかも原料が植物由来であることから、SDGsの視点からも環境負荷の低い材料として持続可能な社会に貢献できると有望視されてきました。しかし、ナノ材料特有の自己凝集特性があることや原油由来の材料と混ぜたり練り合わせることが難しく、それらが用途拡大への障壁となっており、CFRPとの複合化もこうした理由から困難とされていました。
このたび、日本国内の大学と企業が連携しながら研究開発を進めるアドバンスドバイオカーボンコンソーシアム(ABCコンソーシアム)の研究開発において、東京大学未来ビジョン研究センターの古月文志特任教授とミズノは、東京大学大学院農学生命科学研究科の磯貝明特別教授が開発したTEMPO酸化CNFとCFRPを複合化させ、CFRPの強度を向上させることに成功しました。
環境負荷の低い素材としてSDGsの視点からも注目を集めるCNFとの複合化で高強度化を実現できたCFRPは、製品耐久性の向上による素材使用量の削減や廃棄物削減、さらに製品軽量化にもつながることから、輸送時や製品利用時の二酸化炭素削減などが期待されます。