アスリートを盗撮被害から守る赤外線防透け生地を開発

アスリートを盗撮被害から守る赤外線防透け生地を開発

近年、競技会場などにおいて性的な目的で女性アスリートの画像や動画が撮影され、それがインターネットで拡散される被害が各種メディアなどで取り上げられています。そこでミズノでは、盗撮被害の抑制につながる「赤外線防透け」の特長を備えた生地を開発しました。

アスリートに対する盗撮問題には、アスリートはもちろんのこと競技団体も非常に頭を悩ませています。実際に、競技団体や競技主催者は盗撮被害を未然に防ぎたいと考えており、競技会場での呼びかけや撮影に関する制限といった対策を行っています。しかしながら、競技場内での撮影を完全にコントロールすることは難しく、撮影機器も年々高機能化しており、解決が難しい問題となっています。特に近年は、可視光カメラだけではなく赤外線カメラを使用し、ユニフォームの内側の下着や身体まで盗撮されてしまうといった被害が実際に起きています。

これまでミズノが開発した商品の多くは、アスリートを支えるために動的パフォーマンスアップをめざした高機能性商品でした。盗撮被害問題に対しては、ユニフォームの生地の適切な素材選定および素材配置を行うことで対策し、「可視光による透け対策と動的パフォーマンスの両立」をめざしてきましたが、盗撮被害対策としては十分な状態ではありませんでした。そこで今回は「アスリートに対する盗撮」の問題解決をテーマとして新規技術開発に取り組み、その結果「赤外線防透け生地」を開発することができました。

開発した「赤外線防透け生地」は、機能性材料に精通している住友金属鉱山株式会社、複合材料技術に精通している共同印刷株式会社、スポーツを中心とした生地開発・製品設計に精通しているミズノ、この三社の「共創」によって誕生しました。
この生地は、近赤外線領域の吸収性に非常に優れた特殊な材料をテキスタイルに応用しています。もちろん生地の組織設計や加工条件などを工夫することで、ミズノのスポーツウエアとして必要なストレッチ性をはじめとした基本的性能を備えており、その上で「赤外線カメラによる盗撮」に対する対策を実現しています。
この開発した生地の性能テストは下記のような実験を実施しました。

可視光および赤外線画像の撮影方法

その結果、下記の表でもわかるように画像④は、可視光画像・赤外線画像ともに絵が見えにくい状態になりました。

可視光および赤外線画像による透け感の比較図

今回開発した「赤外線防透け生地」をスポーツウエアに応用することで、アスリートの赤外線盗撮被害抑制に貢献できればと考えています。

また、ミズノはスポーツで人と社会を幸せにすることを使命とし、製品やサービスを生み出すための指針の元になるコアバリューを「心・技・体を高める」と定義づけています。悪質な盗撮からアスリートを守り、競技に集中できる環境を提供することは、「心・技・体」の「心」をサポートすることにつながるほか、選手ファーストの観点においても大切な取り組みであると考えています。

ミズノは、社会課題の解決に向けて、様々なパートナーと協力しながら、スポーツ用品開発で培った知見を活用しています。アスリートを守り、競技に集中できる環境づくりに貢献していきます。

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