最速を科学する。社内共創が生んだ新機能「SMOOTH SPEED ASSIST」

最速を科学する。社内共創が生んだ新機能「SMOOTH SPEED ASSIST」

マラソンや駅伝といった陸上競技の長距離種目は、近年の厚底シューズの出現で新たな時代に突入しました。そして、さまざまな調査や議論を重ねる中で、ミズノはミッドフットストライクとフォアフットストライクが効率的で速く走る着地方法だと考えました。本来、スタートからフィニッシュまで、効率のよい着地方法を維持し続けるのは困難ですが、この「ランニング効率」と「負担軽減」という相反する要素を両立させるようとトライ&エラーやアスリートへのヒアリングを重ねて誕生した新機能が「SMOOTH SPEED ASSIST」です。

※ 下腿三頭筋の伸張性収縮の一般的な指標とされる「足関節底屈トルクの負の仕事」を、社外被験者を用いた実験により測定。レースペース走行時(時速16~20km)にスムーズスピードアシスト機能搭載商品と、非搭載商品(自社)間での「足関節底屈トルクの負の仕事」の値を比較し、搭載品において値が低減されることを確認。
※ 効果や感じ方には個人差があります。

この「SMOOTH SPEED ASSIST」における最大の特長はカットされた踵部分にあります。このカットがふくらはぎ周辺の筋や腱の負担を軽減し、同時に自然なフォアフットやミッドフット接地をアシストします。この新機能を開発するにあたり、ヒントとなったのが短距離用スパイクでした。長距離種目における理想の足運びパターンと、短距離種目の足運びパターンの類似点に気づいたことが発想の起点となりました。

新機能「SMOOTH SPEED ASSIST」は、ミズノ社内のあらゆるエキスパートがさまざまなアイデアを持ち寄り、スピードランニングにおけるスムーズさとは何かを再検討しながら誕生した機能です。そして、その誕生の背景にはさまざまな社内のエキスパート同士の「共創」が存在しています。

共創1)設計担当と理論構築担当の共創

設計担当者は試作や試作の体感から生じるフィードバックをものづくりに反映させることはできても、それを理論化できなかったため、ひとつの商品設計事例から発展させることができませんでした。しかし、社内のバイオメカニズムを得意とするメンバーと共創することで「理論化」する活動が加速。結果的に体感と実現象の関係性が明確になり、「SMOOTH SPEED ASSIST」は複数モデルへの展開が可能になりました。

共創2)歴代設計者との共創

上記の理論化を進める過程で、歴代の陸上競技シューズ設計担当やクラフトマンへのヒアリングを実施しました。すると、固定概念をなくして「人を速く走らせる」を追求してたどり着いた設計概念が、実はミズノが他の陸上競技種目の商品開発において着目し続けていた設計概念と共通していることがわかりました。過去の知識やノウハウ、経験も加味しながら開発することでより強い機能に昇華することができました。

共創3)設計担当と現場担当の共創

ミズノは人を速く走らせることを追求して機能を創造し続けてきました。しかし、機能を市場に支持される商品に落とし込むには、市場の把握や現場の意見が必要不可欠です。そこで設計担当が販促・営業担当とともに現場を何度も訪問。現場のフィードバック分析から機能を発揮させる設計のポイントを明確にし、設計精度の向上や用途別のバリエーション商品の誕生に役立てました。

社内のさまざまな共創によって誕生した新機能「SMOOTH SPEED ASSIST」。今後は、さまざまな距離ごとに機能を最適化し、多くの「SMOOTH SPEED ASSIST」搭載シューズがラインナップされる予定です。