デザインチームと研究開発チームの共創による新しいデザイン評価の試み
製品の視覚的なデザインは消費者の購買意欲に大きく影響します。しかしこれまで、デザインの狙いが消費者に適切に伝わっているかどうかを評価することはあまり行われていませんでした。今回ミズノは、デザインの新しい評価手法に挑戦しました。
まず2023年、ミズノは反発性能が向上※1し、より大きな飛距離を可能にする※2『CORTECH CHAMBER(コアテックチャンバー)』という革新的な基幹機能を搭載したゴルフクラブ(ドライバー)を発売しました。この革新的なテクノロジーを最大限に訴求するため、『CORTECH CHAMBER』が搭載されたエリアにゴルファーの視線を引きつけ、試打してみたくなる魅力をプロダクトのビジュアルで創出することが、デザイナーのミッションとなりました。
※1 ※2 当社従来品比較。効果や感じ方には個人差があります。
ミッションを達成するために創案されたのが、『CORTECH CHAMBER』部の樹脂にインサートされた鉄芯を可視化したデザインです。さらに、中距離から見た『CORTECH CHAMBER』へ視線を引きつける必要があると考え、ブルーの透明樹脂を適切なエリアに加飾しました。
『CORTECH CHAMBER』搭載 ST-230シリーズ
しかしこうしたデザインの狙いが、ゴルファーに伝わっているのか、ゴルファーの視線や関心を引きつけられているのかを評価することは難しく、これまでほとんど行われてきませんでした。そこで新たなデザインの評価手法を試みるべく、ミズノのデザインチームと研究開発チームが共創しました。
『CORTECH CHAMBER』が搭載されたエリアにゴルファーの視線を引きつけるデザインとなっているかを評価するため、研究開発チームとともに視線解析技術を活用した評価手法を考えて実施しました。
ゴルフクラブのダミーのデザイン※3と実際のデザインを用意し、それぞれのデザインについて被験者の視線がどのような動きになっているかを可視化して比較することで評価しました。
※3 ダミーデザインには、ブルー面積を減らしたデザインや増やしたデザインなど複数用意しました。
視線解析実験の様子
評価の結果、局所的にブルーのエリアを設けたゴルフクラブ(下記、左側)は、他のクラブに比べてブルーのエリアを注視する割合が高いことが確認されました。下図のヒートマップ例は、ブルー面積を増やしたデザインと実際のデザインの比較をしています。
ヒートマップ例(左:実際のデザイン 右:ダミーのデザイン)
赤い部分は、視線が集中しているエリアを示します。
これにより、『CORTECH CHAMBER』部をブルーで彩ったデザインは視線を引きつけるというミッションを達成しており、革新的なテクノロジーを最大限に訴求するというデザインコンセプトを満たしていることがわかりました。
第52回「~全英への道~ミズノオープン」(2023年5月25日~28日)で、『CORTECH CHAMBER』搭載のドライバーST-X230使用の平田憲聖プロ(ELECOM)が初優勝しました。今後もプロの活躍とともに、視線が集まるデザイン、試打してみたくなるデザインの追求をしていきます。
ゴルフクラブ『CORTECH CHAMBER』搭載 ST-230シリーズ