さまざまな部署との共創が新しい基幹機能『CORTECH CHAMBER』の開発を成功に導いた

さまざまな部署との共創が新しい基幹機能『CORTECH CHAMBER』の開発を成功に導いた

近年、ゴルフクラブの技術革新は目覚ましく、ミズノでもさまざまな開発に取り組み、飛びを追究したドライバーを発売してきました。2023年3月に発売したST-230シリーズには、『CORTECH CHAMBER(コアテックチャンバー)』という新たな基幹機能を搭載しています。この『CORTECH CHAMBER』の最大の特長は、TPUに内含されたステンレスパーツが、効率よくボールの初速を上げ※1、スピン量を低下※1させることです。結果、飛距離を伸ばすことに成功しました。
さらに特筆すべきは、新たな基幹機能である『CORTECH CHAMBER』が、ゴルフクラブ開発チームとミズノ社内のさまざまな部署が共創し、誕生したという点です。

※1 当社従来品との比較

1.構造・素材はゴルフクラブと野球バットの開発チームが共創

『CORTECH CHAMBER』が設置されている位置は、打球時に強い負荷がかかるため、『CORTECH CHAMBER』自体が外れる危険性がありました。この対策について考えているとき、金属バット先端部のキャップ部の構造が利用できることに気が付き、野球バット開発チームにヒアリングを実施しました。すると、バットのキャップ部に用いられる爪構造がパーツの抜け防止に適用できることがわかりました。さらに、バットのキャップ部の素材によって反発性能や打球音もコントロールできることがわかりました。ゴルフクラブ開発チームと野球バット開発チームの共創により、大枠の構造と素材を確定しました。

金属バット先端部のキャップ部

『CORTECH CHAMBER』に応用した爪構造

2.材料選定はゴルフクラブ開発チームと研究開発チームが共創

ゴルフクラブは屋外で使用するため、透明TPUの材料選択には耐候性を考慮する必要がありました。しかし発売まで時間がなく、多くの素材をテストする時間はありませんでした。そこで研究開発チームと共創することで、過去に他の種目で使用実績があり、信頼のある材料を短期間で選定できました。すぐに答えにたどり着けたのは、研究開発チームとの連携のおかげでした。

3.TPUとステンレスの一体構造やデザインはゴルフシューズ企画担当との共創

TPUのような柔らかい材料をゴルフヘッドにパーツとして使用するというアイデアは以前からありました。しかし、透明TPUを通してステンレスパーツを見せるというアイデアは、ゴルフシューズからでした。ゴルフシューズ企画担当者との共創により、ステンレスパーツとTPUの一体成型手法、さらには透明TPUの裏側を塗装することで見え方に変化を出すことに成功しました。

4.特許調査や出願、構造変更はアメリカのミズノオフィスや特許事務所、知的財産課との共創

異素材パーツを複合するアイデアは数多くあるため、日本とアメリカで多くの特許を確認する必要がありました。アメリカではゴルフクラブ開発チームや特許事務所との連携、日本では知的財産課との共創により、特許に抵触していない新構造の基幹機能を開発することに成功しました。

このように新しい基幹機能『CORTECH CHAMBER』は、ゴルフの既存技術だけでは決して実現できませんでした。他スポーツの開発チームなど部門を越えた共創ができたからこそ実現した機能です。

ゴルフクラブ『CORTECH CHAMBER』搭載 ST-230シリーズ

https://jpn.mizuno.com/golf/st230