球が速くなる野球スパイク「SPEEDREVO」を開発
多くの投手が目指すのは「球を速くすること」です。ミズノでは球が速くなるという夢のような機能を備えたスパイク「SPEEDREVO(スピードレボ)」を開発しました。球速が約0.73km/h※1速くなることが科学的に実証されているスパイクSPEEDREVOは、さまざまな共創によって誕生しました。
※1 アンダースローを除く、対象は青年の野球投手となります、当社従来品比較、環境や状況により効果や感じ方には個人差があります。
SPEEDREVO誕生のカギは、「バイオメカニクス分析」と「自社製品MA-Q※2による機能検証」にあります。
バイオメカニクス分析については、鹿屋体育大学と共同研究を行い、スパイクの金具の向きの違いによる投球動作への影響を分析しました。その結果、スパイクの金具の向きで踏み出し足のグリップ力が変化すること、そのグリップ力が増大すると球速も向上すること、さらには踏み出し足には投球方向と正対する方向から大きな力が掛かることがわかりました。この結果から導かれた理論をもとに、前足部の金具を横方向に並べた構造を採用しています。
※2 MA-Qとは、専用センサーを内蔵したボールを投げることで、投げたボールの回転数や回転軸、速度などを記録、計測し、分析することができる製品です(https://jpn.mizuno.com/baseball/products/MAQ)。
鹿屋体育大学スポーツパフォーマンス研究センターにて実験データ取得
さらに、高校生と大学生合わせて39名の投手に協力していただき、自社製品「MA-Q」を用いて既存スパイクとSPEEDREVOプロトタイプ、それぞれを着用した際の球速を計測して比較しました。その結果、SPEEDREVO着用時には球速が0.73km/h速くなりました。これらの機能検証結果は、シューズの専門家が集まる国際学会「The 15th Footwear Biomechanics Symposium」でも発表しています。
SPEEDREVOは、新機能開発や基礎研究などを行う研究部門と野球スパイクを担当する企画開発部門のプロジェクトによって誕生した商品です。実は、ミズノではこれまでもスパイクによる球速向上に挑戦した経験がありますが、機能的難易度が高く検証困難なため、商品化には至りませんでした。
今回、研究部門はスパイクの構造次第で球速を上げられる可能性を見出し、同時に企画開発部門は「球を速く投げる」という投手の本能的な要望を叶えるスパイクを商品化したいという思いをもっていました。両部門でそれぞれの知恵を出し合い、機能検証や商品の実現可能性を探りました。
課題や問題に直面しても、鹿屋体育大学を交えた関係者と常に意見交換を行い、共創によってそれらをクリアし、定量的なデータで機能性を示すことができるスバイクが完成。ついに発売することができました。
発売後は、ミズノ契約のプロ野球選手をはじめ、2022年夏の甲子園大会に出場した選手たちが着用してくださっています。この事実を通じて、私たちが実現したかった世界を選手の皆さまに認めてもらえたと考えています。さらに、「球速を上げることのできる投手用スパイク」という多くの選手の心を動かす製品を実現する、生体力学に基づく研究開発が評価され、2022年のグッドデザイン賞を受賞しました。
今後もミズノは常に大きなビジョンを描き、社内外のパートナーとともに課題解決に取り組むと同時に、新たな価値共創に取り組んでいきます。
SPEEDREVO(スピードレボ)