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卓球のパフォーマンスを高めるタイツの開発

ランニングエコノミーを高めるタイツ「MIZUNO BIOGEAR SONIC(ミズノ バイオギアソニック)」は、トップランナーはもちろん多くの市民ランナーからも支持を得た人気商品です。この「MIZUNO BIOGEAR SONIC」に搭載されている骨盤サポート設計が、他の競技でも効果を発揮するのではないかと考え、あらゆる競技のアスリートにモニターを依頼しました。
すると卓球のアスリートから高評価を得ることができました。卓球では腰を落として前傾姿勢を維持するため、お尻周りに負担がかかったり、フォアハンドで打つ際に股関節の付け根を繰り返し曲げ伸ばしするために負担がかかり続け、脚が上がらなくなったり、上体を旋回させる動きがスムーズにできなくなることがあります。しかしSONICタイツを着用すると、股関節の付け根に出る負担が軽減されるという評価がありました。そこで本格的に卓球仕様のSONICタイツの開発を開始しました。

1.卓球に特化した設計開発

骨盤サポート

ランニングエコノミーを高める陸上長距離向けの設計を踏襲して、骨盤周りを前傾しやすいように締め付けることで、卓球特有の中腰姿勢を維持しやすくしました。

サポートと動きやすさの両立

陸上長距離タイツ同様に、タテヨコによく伸びる生地を使用しました。さらに特許を持つ接着技術を用いて少ないシームラインでしっかりしたサポート力を持たせました。これにより、高いサポート力と動きやすさの両立を実現しました(特許第6391530号)。

股下丈の長さ調整

卓球のユニフォームのパンツやスコートの丈に合わせて、ショート丈に変更しました。

2.機能を科学的に検証

被験者として現役卓球アスリート10名※1に協力していただき、プロトタイプ品の卓球SONICタイツを着用した場合としなかった場合の2条件で機能性に関する科学的な検証を行いました。
運動課題は、1分間の全力連続フォアハンドストローク[左右交互 45球/分]を2セット行い、モーションキャプチャによりスイング速度を計測するというものです。
結果、2セット目でプロトタイプ品着用時の方が非着用時よりも約1.2%(約0.09m/s ≒ 秒速 球2個分)スイング速度※2が速いことを確認しました。この結果より、プロトタイプ品の卓球SONICタイツにはスイング速度低下を抑える効果があると考えられます。また、プロトタイプ品着用時の方が非着用時よりも、ラケットを構えた姿勢時の大殿筋(お尻の筋肉)の筋活動量が約14%小さく、フォアハンドストローク時の大腿直筋(太もも前部の筋肉)の筋活動も約25%小さいことを確認しました。この結果より、プロトタイプ品の卓球SONICタイツがお尻や太ももの筋肉の負担を軽減していると考えられます。

※1 モーションキャプチャ計測時のシステムエラーによりスイング速度は被験者9名のデータにて比較を行った
※2 ラケット持ち手の移動速度をスイング速度と定義

3.トップアスリートとの共創

長﨑美柚選手、平野美宇選手などのトップアスリートにヒアリングを行い、腰周りの締め付け強度の調整を行っています。2022年に開催された世界卓球で団体銀メダル獲得に大きく貢献され長崎選手は同タイプのタイツを着用していました。

今回検証した卓球SONICタイツの商品化は今のところ未定ですが、開発は継続していきます。今後も引き続きさまざまなスポーツに取り組むアスリートのパフォーマンスを高めるサポートに取り組む予定です。

これからもミズノは、より良いスポーツ品を提供することで、スポーツシーンを支えてまいります。