水中軽量性を高めた競泳用水着「GX・SONIC 6」の開発
競泳選手は「少しでも速く泳ぎたい」という欲求が尽きることはありません。そんな選手たちの思いに応えるため、ミズノの競泳水着のフラッグシップモデルとして「GX・SONIC(ジーエックス・ソニック)シリーズ」を開発・販売してきました。そんな「GX・SONICシリーズ」をフラッグシップの名にふさわしいものとするため、さらなる進化を求めて生地と設計の両面から開発に取り組み、「GX・SONIC 6」を完成させました。
1.現場や選手の声をもとに開発ポイントを策定
開発ポイントの策定では、アンバサダー選手や現場に最も近い販促スタッフの声を徹底的にヒアリングしました。その中で「最近はサポート力よりも動きやすさを重視した水着を選ぶ選手が増えている」ことや「女子の肩ストラップは柔らかくて肩甲骨が動かしやすいものが好まれる」というポイントが浮かび上がってきました。その結果を踏まえ、生地開発と製品設計開発における重要ポイントを絞り込みました。
水着の生地開発では、一般衣料とは特性や求められる機能が全く異なります。特に「生地表面の摩擦抵抗」、「撥水性能(表面撥水・水中軽量性)」、「生地物性(強度・伸び感)」、「接着性(水着と接着剤の相性)」の4つを重要な要素としてとらえました。製品設計開発では、「締め付け感や丈感」と言った着心地に加え、「飛び込み時の水侵入対策」、「肩甲骨を動かしやすい女子用の肩ストラップ」の3つを重要ポイントとしました。
2.東レとの共創による生地開発
生地開発では、東レ様より提案があった、特殊なスリットが入った新しい原糸構造の糸を使用して生地開発に取り組むことにしました。これにより、従来品よりも高い撥水性能を実現するとともに、糸や生地への浸水を防いで水中でも軽量感を感じる水着生地の開発が実現しました。
新開発の生地は表面撥水性能が良くなっただけではなく、水中での水着重量を従来品※1に比べて最大6.2%軽量化できました。
※1 メンズハーフスパッツ「GX・SONIC V ST」と「GX・SONIC 6 NV」
3.ミズノブランドアンバサダーとの共創による設計開発
設計開発では、特に女子用水着の着用感にフォーカスしました。ストラップ部の開発では、襟ぐりや脇ぐりとは独立させて、幅広のゴム状になったエラストマー系メッシュをソフトな風合いの生地で包む形状を考案しました。従来品にあったストラップの凹凸がなくなり、肌当たりが良くなったことに加えてストレッチ性も良くなり、肩へのストレスが軽減しました。さらに、ストラップパーツだけでなく、製品形状そのものでも背中から見てストラップがV字になる新設計を採用。これにより、肩甲骨の上にストラップが重ならなくなりました。
試作品を実際にアンバサダーの選手に着用してもらってのフィードバックを踏まえ、生地の伸びやパターンを何度も修正してストラップの柔らかさと着心地の両立を実現しました。 男子用水着に関しては、中央大学の高橋雄介先生にコンセプトや設計に関する助言をいただいたほか、中央大学の競泳選手に何度も試作品のモニターをしていただきました。
4.2024年7月から開催される大会でも着用予定
「GX・SONIC 6」は2023年9月に販売が開始されており、2024年3月に開催された代表選考会では、延べ379名の選手が着用しました。中でも、池江選手、青木選手、渡辺選手、花車選手は「GX・SONIC 6」を着用して代表権を獲得しました。2024年7月から開催される大会でも着用予定です。
ミズノはこれからも現場のスタッフや選手の意見を大切にした製品開発を続け、より良いスポーツ品を提供することで、スポーツシーンを支えていきます。