
ランナーのための「LT」計測サービス「らくっとらん30」の開発
マラソンでは「30kmの壁」という言葉があるように、フルマラソンに挑戦した多くのランナーが30㎞付近で脚が止まってしまう経験をしています。これはオーバーペースでエネルギー源の糖質が枯渇することが大きな原因といわれています。つまり、糖質を使わずにできるだけ速く走ることが完走やタイム短縮のカギとなります。この糖質を使わずにできる最大の運動強度、ランニングの場合はランニング速度やペースのことを「乳酸性閾値(にゅうさんせいいきち)」または「LT」と呼びます。従来、LTの計測には運動しながらの採血や高価な装置が必要とされ、気軽に計測することはできませんでした。
ミズノでは汗に含まれる乳酸を計測できる株式会社グレースイメージング(以下:GI社)の技術を活用すれば、従来よりも手軽にLTを計測できることに加え、ミズノが持つランニング指導のノウハウと結びつけることで、ランナーにとって魅力的なサービスになるのではと考え、21年からGI社との共創により「らくっとらん30」を開発、2022年11月にサービス提供をスタートしました。
開発のポイント
サービス構築
実際にLTを計測した経験があるランナーは皆無に等しいと考えられました。そのため「あなたのLTは時速○○km」と伝えることではなく、LT値から最適なペースやタイム短縮につながる練習メニューこそがランナーが求める情報だと考えました。そこで、出たLTからレース時のペース提案や大会までのトレーニングメニュー提案も含めたサービス内容を構築しました。
まずミズノグループであるミズノスポーツサービス株式会社が運営するランニングステーション(以下:ランステ)でテスト的にサービス提供を実施しました。これは従来から練習会などを通じて、ランナーにペースやトレーニングのアドバイスを行っており、LTを基にした当サービスの提供がより精度の高いアドバイスにつながると考えたためです。 実際にランステ利用者に当サービスを提供したところ,非常に高い満足度が得られたため「らくっとらん30」と名付けてサービス化が決定しました。
サービス内容
「らくっとらん30」は次のような流れでサービスが提供されます。サービス提供に要する時間は約1時間程度です。
- お客様来店後,専門スタッフによるマラソン歴、タイム、目標大会といった基本情報ヒアリング
- 汗乳酸計測用デバイスを上腕に、心拍数計測用デバイスを耳たぶに装着
- トレッドミルの上を走って計測。開始直後はゆっくりのジョギングから、徐々に速度を上げて「きつい」と感じる速度まで走行
- 計測終了後、LTや目的に応じたお薦めのトレーニング速度やシューズなどを印刷
- 印刷した結果をもとに、専門スタッフがレースペースや日々のトレーニングのアドバイスを実施





パートナーとの共創ストーリー
ランナーにとってはLTを知るだけでは不十分で、日々の練習やレースに活用できることが重要でした。「らくっとらん30」はGI社の技術とミズノのランニング指導ノウハウがそろったからこそ生まれたサービスと言えます。
実績
2022年11月のサービス提供開始以降、のべ600名以上にサービスを提供(2024年9月時点)し、顧客満足度は10点満点中9.6点、リピート率は約30%となっています(いずれもミズノ調べ)。
スポーツ業界で実績と信頼を培ってきたミズノとさまざまなリソースや革新的な技術を持った国内外の企業が共創することで、まだ世の中にない製品やサービスを創造してお届けしたいと考えています。これからもミズノは「らくっとらん30」のようなサービスを提供することで、ランナーをサポートしていきます。
