泳ぐ人にも環境にも優しい新競泳用ニット水着生地の開発
競泳水着は「速く泳ぎたい」というユーザーのニーズに応えるため、日々製品開発が進められ、進化し続けています。特に競泳用水着で使用される生地は、水による抵抗が低くなるよう撥水加工が施されているほか、表面の組織や加工も工夫されています。
一方、環境に配慮した製品開発を行う際、一般的に使用されるリサイクルポリエステル糸やPFASフリー撥水剤 ※1を使用するとコストアップや性能低下を招くとされ、要求特性と環境配慮との両立は困難とされてきました。
そこでミズノでは、東レ株式会社との共創により、これまで以上の環境配慮とさらなる低抵抗性を実現する生地を開発しました。
※1 有機フッ素化合物(化学物質)の含まない撥水剤のこと。
開発のポイント
従来の競泳用水着生地は、伸びやすいトリコット編地にフッ素系撥水剤を用いて高性能撥水加工を施すとともに、特殊な凹凸柄を生地表面にエンボス加工することで、撥水性や低抵抗性を高めていました。
今回、新たな競泳用水着生地を開発するにあたり、「水中における生地の表面摩擦抵抗」のほか、水中軽量性に直結する「撥水性」、着心地や着脱性に直結する「生地の伸び特性」の3つを開発の重要ポイントとして定めました。また、リサイクルポリエステル糸やPFASフリー撥水剤を使用することによるコストアップをできるだけ抑制させながらも、環境に配慮した生地開発をめざしました。
東レ株式会社との共創による生地開発
共創プロセス
高い繊維技術開発力を持つ東レ株式会社と、生地開発の共創をスタートしました。
先行研究をリサーチし、生地表面にバイオミメティクス由来の特殊な凹凸構造を生み出すため、数種類の編み組織(ヘリンボーン組織)を検討。その結果、糸の太さや異なる編み組織の組み合わせによって、生地表面に微細なストライプ調の凹凸構造を実現しました。さらに、この生地に最適なPFASフリー撥水剤の処方を探求し、水中でも水を吸収せずに重くなりづらい新生地を開発し、完成させました(※特許出願済)。
新素材の撥水の様子
従来素材と新素材の比較
実現できた成果
完成した生地に対し、生地開発開始時に設定した3つの目標を達成できているかどうか、評価テストを実施しました。
成果1)性能の向上
東洋大学窪田准教授との共同研究により、水中における生地の表面摩擦抵抗値を測定しました。その結果、従来生地と比較して水中における生地の表面摩擦抵抗を約2.6%軽減していることがわかりました。また、PFASフリー撥水剤を使用しながら、ミズノが定める撥水基準をクリアしました。生地の伸びも十分あり、製品において良い着心地を実現させています。
成果2)環境配慮
新生地はエンボス加工の製造プロセスが不要になりました。これにより運送や加工に係るエネルギーやCO2排出量の削減を実現し、エコフレンドリーな素材生地を完成させました。
成果3)生産コスト抑制・リードタイム短縮
エンボス加工を不要になったことで、リサイクルポリエステル糸やPFASフリー撥水剤の使用によるコストアップ分を吸収すると同時に、生地の生産期間も約6週間短縮しました。これにより、環境配慮を実現しながらも、過度な生地・製品価格の上昇抑制にも貢献しました。
環境に配慮しながらも水中における生地の表面摩擦抵抗軽減やトータルコスト抑制を実現し、「泳ぐ人にも環境にも優しい生地」を完成させました。
受賞実績など
「Stream Fit Ribtex(ストリームフィットリブテックス)」と名付けられた新生地は、「開発の条件制約が大きい中、メーカーが先導して社会に必要なアクションを示す姿勢」に高い評価をいただき、GOOD DESIGN賞2024を受賞しました。その後、「STREAM FIT RIBTEX」を使用した競泳用水着を「GX・SONIC STREAM」と名付け、2025年9月に発売予定です。

ミズノは30年以上にわたって環境配慮やリサイクルの推進などに取り組んできました。今後も、革新的な技術を持つ企業との共創を通じて地球環境を守る新たな製品や素材を創造し、世界中に届けてまいります。