人間拡張技術の社会実装に向けた試み
デジタル技術の普及により、人々の暮らしは格段に便利になりました。ただ、人間の身体的な性質は、約1万年前の狩猟時代からほとんど進化していないと言われています。しかし近年、テクノロジーの進化により人間の能力を進化、増強させる技術や考え方として「人間拡張(Human Augmentation)」が注目を集めています。
ミズノでは、スポーツで社会を変える研究開発ビジョンとして『MIZUNO MIRAI VISION』を定めており、これは私たちの強みと価値、つくりたい未来を表したものであり、製品やサービスを生み出すための指針となるものです。また、楽しく体を動かすことのすべてをスポーツととらえ、スポーツで人と社会を幸せにすることを使命として、ミズノならではのコアバリューとコアテクノロジーを定義しています。
ミズノは現在、この『MIZUNO MIRAI VISION』に基づき研究開発を進める中で、「人間拡張」分野にも挑戦しています。
ミズノでは、2019年当時の研究開発部内に「人間拡張研究開発課」を新たに設立し、今後加速するであろう少子化や超高齢化、ライフスタイルの多様化といった大きな社会変化に対応するため、身体の限界を取り払うプロダクトやサービスについての研究開発にも取り組み始めました。
同年には「20XX年、きっと、できる。」というスポーツのフィールドはもちろん、日常生活の中でもすべての人々が自分の体を使ってできなかったことができるようになるという世界観を示したWorld Mapを作成し、私たちの研究開発における一分野としての「人間拡張」の方向性を示しました。
私たちはWorld Mapを羅針盤とし、人間拡張技術の社会実装に向けて、より速く、より強く、より高くといったパフォーマンス向上を可能にする領域、現実と仮想の融合や感覚器のマルチフィードバックシステムの利用など、既存のトレーニングの常識を覆す領域、さらには自らの身体を使った未来の移動手段を開発する領域などにチャレンジしていきます。
「人間拡張研究開発課」は、健常者だけでなく、シニアや障がい者、妊婦、子どもなど、すべての人々が自らの身体を自由自在に操って、今までできなかったことができるようになり、誰もが前向きに「やりたいこと、やろう!」と思える活気ある社会を、ミズノのスポーツテクノロジーと人間拡張技術の融合を通じて実現していきます。