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ミズノ株式会社 代表取締役社長 水野明人
Scrum Ventures 創業者兼ジェネラル・パートナー 宮田拓弥

イノベーションセンターは、ジャンルを超えた新たな価値を創造する場

2022年1月からミズノはスタートアップ企業に投資をするファンドを運営しているスクラムベンチャーズと契約しました。今回、ミズノ株式会社 水野社長とスクラムベンチャーズ 宮田社長による対談を行いました。

水野:ミズノはスポーツ用品に関わって100年以上の歴史があり、スポーツをする歓びや幸せを人々に届けることを目的に、その時々の社会動向や人々のニーズをキャッチしながら新たな価値の創造に取り組んでいます。その結果、より多くの人々が手軽にスポーツを楽しめる環境を提供したり、スポーツ用品開発を通して培った技術力を活用して人々の生活をより豊かにするお手伝いができればと考えています。

宮田さん:なるほど。現在、ミズノ大阪本社横で建設中のイノベーションセンターもそこに繋がっているんですね。

水野:まさにその通りです。スポーツによる社会イノベーション創出を目指す私たちにとって、イノベーションセンターはスポーツの価値をより多くの人々にお届けする起点としたい。そのためには、さまざまなデータの測定や分析、それを反映して作った試作品からさらにフィードバックを得るというサイクルで開発を加速させる場が必要です。まさにイノベーションセンターはその中核となります。

宮田さん:私もイノベーションセンターの話を聞いてワクワクしています。ミズノさんの強みである「ものづくり」は、たいていのスタートアップ企業にとっては弱みです。ただ、「ものづくり」につながるアイデアやヒントはたくさん持っています。そこで、ミズノさんはこれまでクローズドな環境で研究開発に取り組んでいたことと思いますが、最近注力されている研究開発を加速するためのにオープンイノベーションの取り組みを積極的に発信し、その情報に反応したスタートアップ企業と協力するのはいかがでしょう。もちろん一朝一夕には難しいですが、自社の強みを社外に発信することで、新しい可能性が数多く生まれてくると思います。

水野:面白そうですね。私たちは新しいことにチャレンジし続ける会社になりたいと考えています。イノベーションセンターのようなハード面のみならず、アクセラレーションプログラムのようなソフト面でも新しい取り組みをどんどん進めていて、ここでは宇宙ビジネスに繋がるアイデアも生まれています。

宮田さん:私たちはすでに宇宙ビジネスへの投資も行っており、国際宇宙ステーション(ISS)での研究をクラウド化する会社に投資しています。これから宇宙空間は大きなビジネスが生まれると思っているので、ぜひディスカッションしたいですね。

水野:ほかにも社員が社長に夢をぶつける取り組みをはじめ、新製品、新サービス、新事業の創出を助けるシステムとして「ミズノ版ステージゲート(MSG)」も構築しました。さらに、オープンイノベーションのための拠り所として、製品・サービスの開発の方向性を表した「ミズノミライビジョン(MIZUNO MIRAI VISION)」を策定して発信を開始しています。

新たなチャレンジをし続ける会社をめざすための提携

宮田さん:今回、スクラムベンチャーズへの投資を決めたのは、どんな可能性を感じていただいたのでしょうか?

水野:先ほどお話ししたアクセラレーションプログラムやMSG、ミズノミライビジョンなど同様に、夢に向かって、失敗を恐れず、新しいことにチャレンジし続ける会社をめざす取り組みの一環と言えます。

宮田さん:私たちから見たミズノさんの魅力は、私たちが出資するスタートアップ企業が持っていない「ブランド力」や「ものづくり力」、「営業力」を備えている点です。WIN-WINの関係を築きながら、大きな相乗効果が生まれる可能性を感じています。

水野:当然ながら、ミズノには「新しいこと」を実現しようとする上で強みも弱みもあります。たとえば、ミズノはスポーツ用品の「ものづくり」から始まった企業なので、品質や機能性が強み。逆に積み上げてきた強みがあるがゆえに、あっと驚くような情緒的でかつ新しい発想を生み出す部分は少し弱いのかな、と感じています。この弱みの部分をサポートしていただきたい。

宮田さん:時代とともに機能的な価値とデザイン的な価値のバランスが変化していると感じます。このあたりは私たちがサポートできる部分だと思うので、全力を尽くしてサポートします。

水野:社会イノベーション創出につながる可能性がある世界中の情報を集めることや目利き力を養うことは、スクラムベンチャーズさんとの提携における最初の目的と考えています。実際にスクラムベンチャーズさんが得意とする領域では、これらの目的を実現するのに十分な実績をお持ちですよね。

宮田さん:当社の得意領域は、スポーツ、ウェルビーイング、スマートシティの分野で、日米を中心に、年間数千ものスタートアップ企業を調べ、投資を実行しています。さらに本社は米国シリコンバレーにあり、世界最先端の情報がリアルタイムに入ってくる環境にあります。こうした点は、ミズノさんがめざす目的の実現においても必ず役に立つと思います。

「ものづくり×デジタル」が、スポーツとの向き合い方を変える

水野:スタートアップはビジネスアイデアの多くがデジタル領域のアイデアですよね。ものづくりのミズノとデジタルを駆使したアイデアに強みを持つスタートアップのマッチングに、宮田さんはどんな可能性を感じておられますか。

宮田さん:大きな可能性があると感じています。先日、大阪本社で社員の皆さんとゴルフのDXに関する意見交換をさせていただきました。そこで私は「ゴルフクラブは買うものではないのではないか」という話をしました。ゴルフは上達するに従って最適なクラブも変化するので、たとえば、常に自分に合ったクラブが使える月額のサブスクリプションサービスはどうか、と。ゴルフクラブを所有せずに、自分のレベルに最適なクラブを送ってもらって使うのです。こんなサービスがミズノさんで提供されるようになると、ゴルファーの準備やプレー、あるいはゴルフへの向き合い方やイメージに大きな変化が生まれる可能性があります。実はこれ、私自身が個人的に欲しいサービスなのですが(笑)。

水野:それは面白いですね。ゴルフだと、ミズノが得意とするのは使う人のレベルや体格に合わせてカスタマイズしたり、多様なサイズを展開する部分です。

宮田さん:従来、本格的にカスタマイズした製品を使えるのはトップ選手だけでしたが、コミュニケーションや採寸などをより簡単にオンラインで行えるようになれば、成長が早いお子さまや一般の方も利用しやすくなるのではないでしょうか。

世界に向けて一緒に「ワクワク」を届けることをめざす

水野:私たちがスクラムベンチャーズさんに期待しているのは、私たちとスタートアップが新しいアイデアでつながり、開発やマーケティングはもちろん、販売に至るまで新たな視点や最新の情報をご提供いただくことです。

宮田さん:私は普段サンフランシスコにいますが、今はオンラインの時代。気軽にSNSなどで相談していただきたいですね。ミズノさんのハードとスタートアップのシナジーが、どんな新しいコトを生み出せるのか、今からワクワクしています。

水野:スタートアップは新たな価値を生む時に、「ワクワクする」といったキーワードを重視するのでしょうか。

宮田さん:スタートアップは基本的にワクワクすることしかやりません(笑)。私たちのようなベンチャーキャピタルも自分がワクワクを感じることに投資をしています。そこから実際にイノベーションや新しい価値が生まれている事実からも、私たちが参画することで新たな製品や事業、ビジネスモデルなどが生まれ、社会の困りごとをミズノさんと一緒に解決できればと考えています。

水野:私たちもスポーツのチカラで、人々にワクワクと幸せを提供する会社をめざしています。これから一緒にワクワクを世界中に届けていきましょう。ありがとうございました。

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