近年、カーボンニュートラルの重要性が高まり、社会全体で石油資源の使用量低減が求められています。具体的な期待としては、プラスチックの資源循環や石油原料からバイオ原料への代替などです。
ミズノでは、ゴルフクラブのシャフトやバット、ラケットなど、さまざまな製品に軽量かつ高強度という特性を持つ繊維強化プラスチック(FRP)を使用しており、このFRPに植物由来の素材を適用することで環境負荷の軽減に貢献できないかと考え、開発に取り組みました。
今回は、FRP製品の植物由来比率を向上させるべく、国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所(以下:森林総研)や地方独立行政法人 大阪産業技術研究所(以下:大阪技術研)と共創。「木」から取り出した「改質リグニン」をFRPの素材とすることで、FRPをより高性能化することに成功しました。

マラソンや駅伝といった陸上競技の長距離種目では、厚底シューズの着用が一般的になりましたが、近年は厚底でありながら超軽量をアピールするシューズが登場するなど、長距離向けレーシングシューズの競争は「軽量化」を軸とした新たな時代に突入しています。
しかし、単純に軽量化を進めるだけでは、厚底レーシングシューズのメリットである反発性が損なわれる可能性があります。また、安定性が著しく欠如することも懸念されます。今回ミズノでは、これまで培った技術や知見を生かした素材開発や技術革新に取り組みました。その結果、独自の高反発ミッドソール素材『MIZUNO ENERZY XP』やカーボンファイバープレートを進化させて採用し、片方約137g※1でありながら反発性や安定性を高次元で実現可能なトップモデル「HYPERWARP PURE」を開発しました。

※1 27.0cmの場合

近年「健康的に年を重ねたい」という健康寿命延伸ニーズの高まりから、運動の習慣化に取り組む人が増えています。しかし、運動を習慣化するには「やらなければならない」ではなく「やりたくなる」ためのアイテムやツールが必要なのも事実です。
これまでミズノではスポーツに関わる「モノ」だけではなく、「コト」や「場」の提供にも積極的に取り組んできました。運動の習慣化については、2022年4月に「スポーツ後のビールを最高においしく飲む!」という動機を提供するツールとして、南信州ビール株式会社との協働開発によるノンアルコール・ビールテイスト飲料「PUHAAH(プハー)」を発売しました。この「PUHAAH」が大変好評だったことで、「スポーツ後に最適なノンアルコール・ビールテイスト飲料」というニーズの存在を確認することができました。
そこで次なる段階である「楽しくスポーツをするという文化や環境づくりをさらに広げ、より多くの人にこの価値を届ける」の実現を目指し、ノンアルコールビールの新たな飲用機会としてスポーツシーンに着目していたサッポロビール株式会社との協働開発に至りました。

近年、テクノロジーの進化により人間の能力を進化、増強させる技術や考え方として「人間拡張(Human Augmentation)技術」が注目されています。スポーツ業界における「カーボン義足」や「厚底シューズのカーボンプレート」などもその技術の一例です。着用することで失った能力を補い、現状の身体能力を飛躍的に高めることができます。
ミズノのグローバル研究開発部でもさまざまな人間拡張技術の研究・開発に取り組む中で、カーボン技術を応用して移動能力を拡張できるのではないかと考え、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)板バネを搭載することで、より楽に移動できることを目指したフットギアの開発を行いました。

競泳水着は「速く泳ぎたい」というユーザーのニーズに応えるため、日々製品開発が進められ、進化し続けています。特に競泳用水着で使用される生地は、水による抵抗が低くなるよう撥水加工が施されているほか、表面の組織や加工も工夫されています。
一方、環境に配慮した製品開発を行う際、一般的に使用されるリサイクルポリエステル糸やPFASフリー撥水剤 ※1を使用するとコストアップや性能低下を招くとされ、要求特性と環境配慮との両立は困難とされてきました。
そこでミズノでは、東レ株式会社との共創により、これまで以上の環境配慮とさらなる低抵抗性を実現する生地を開発しました。

※1 有機フッ素化合物(化学物質)の含まない撥水剤のこと。

近年、使用済みプラスチックが自然環境に流出した結果、最終的に海に流れ着いて海洋プラスチックごみになることが世界的な社会課題となっています。
スポーツ施設では、2000年以降、長い人工芝葉の間にゴムや樹脂などのプラスチック製充填材を充填するタイプの製品が開発され、世界中で使用されるようになりました。日本でも耐久性やプレー性の向上を理由に、延べ2,000万平方メートル以上の面積に敷設されています。しかし、これらのプラスチック製品も施設外に流出し、海洋プラスチックごみの一因になっているという検証結果が存在しています。
そこでミズノでは万が一、人工芝葉が海に流出しても海洋プラスチックごみにならないことを目指し、株式会社カネカとの共創により海洋生分解性樹脂を使用した屋内用の人工芝を開発しました。

1985年以降、子どもの体力や運動能力が徐々に低下してきています。思い切り体を動かして楽しめる場所が減り、運動やスポーツが苦手、さらには嫌いと感じる子どもが増えてきています。子どもの遊びが屋外での運動遊びから屋内でのデジタル遊具に変化する一方、運動やスポーツが子どもの心身の成長に良い効果をもたらすことが明らかになっています。
そこでミズノでは、スポーツで多くの子どもを育むことを目的に、多種目のスポーツ体験ができるスクールプログラムを開発し、子どもが主体となって楽しめるマルチスポーツスクール「MISPO!(ミスポ)」の運営事業化を実現しました。

マラソンでは「30kmの壁」という言葉があるように、フルマラソンに挑戦した多くのランナーが30㎞付近で脚が止まってしまう経験をしています。これはオーバーペースでエネルギー源の糖質が枯渇することが大きな原因といわれています。つまり、糖質を使わずにできるだけ速く走ることが完走やタイム短縮のカギとなります。この糖質を使わずにできる最大の運動強度、ランニングの場合はランニング速度やペースのことを「乳酸性閾値(にゅうさんせいいきち)」または「LT」と呼びます。従来、LTの計測には運動しながらの採血や高価な装置が必要とされ、気軽に計測することはできませんでした。

ミズノでは汗に含まれる乳酸を計測できる株式会社グレースイメージング(以下:GI社)の技術を活用すれば、従来よりも手軽にLTを計測できることに加え、ミズノが持つランニング指導のノウハウと結びつけることで、ランナーにとって魅力的なサービスになるのではと考え、21年からGI社との共創により「らくっとらん30」を開発、2022年11月にサービス提供をスタートしました。

ミズノでは2023年に、お客さまに新たなフィッティング体験を提供するとともに商品開発スピードの高速化の実現を目指すべく、兵庫県西宮市にあるよみうりカントリークラブにゴルフ開発拠点「Mizuno Research and Performance Center(以下:MRPC)」を開設。フィッティング施設の設置とゴルフロボットの導入を実施しました。

近年、地球温暖化が叫ばれています。暑熱環境下での運動は深部体温が上がり、パフォーマンスの低下や熱中症リスクの増大につながる可能性があります。そんな暑熱環境下での身体冷却は、身体能力のリカバリーやパフォーマンス、認知機能の低下抑制、発汗量の抑制につながるといわれています。現在も氷のうをはじめアイスバス、クライオセラピーなど多様な身体冷却方法がありますが、冷却部位が限定されたり、運搬ができなかったりというデメリットがあります。
そこでミズノでは着用するだけで効率的に体を冷やし、休憩時間に着用すればその後のパフォーマンス低下の抑制につながるウエアを作ろうと考え、「コールドチャージベスト」の開発がスタートしました。