技術担当役員メッセージ

競技スポーツを原点に、“ええもん”を社会へ広げる
私たちは、研究開発を単に新しい技術を生み出す仕事だとは考えていません。目指しているのは、「なぜミズノがこの商品をつくるのか」という理由を、お客さまに実感していただける“ええもん”を届けることです。その原点にあるのが、創業以来受け継いできた「人の動きの研究」です。
私たちが向き合うのは、競技スポーツという極限の世界です。わずかな違いが勝敗を左右する環境だからこそ、人の身体や動作だけでなく、感覚や心理まで含めて「人」を深く理解し、その力を最大限に引き出すための研究を積み重ねてきました。流行を追うのではなく、人が本当に抱えている課題を見つめ、その解決策を形にする。その積み重ねこそが、ミズノらしい価値であり、“ええもん”につながると考えています。
もちろん、その道のりは決して平坦ではありません。新しい性能を追求するだけであれば、方法はいくらでもあります。しかし、それによって品質や使いやすさ、お客さまにとっての価値が損なわれるのであれば、それはミズノのものづくりではありません。品質をさらに高めようと思えば、際限なく追求することもできます。しかし、それがお客さまにとって本当に価値のあるものなのか、価格とのバランスは適切なのか――常にその視点を持ちながら、最適な答えを探し続けています。性能、品質、そして使う人にとっての価値。そのすべてを高い次元で実現することが、私たちの使命です。
環境への取り組みも、考え方は変わりません。環境負荷を減らすためだけに性能や品質を妥協するのではなく、素材や構造、製造方法そのものを見直し、新たな発想で課題を乗り越えていく。社会課題への対応を制約ではなく、新しい価値を生み出す機会と捉えることが、これからの研究開発には欠かせないと考えています。
こうした考え方を形にしたのが、「MIZUNO MIRAI VISION」です。私たちが目指しているのは、競技スポーツから離れて新しい価値を生み出すことではありません。競技スポーツという最も厳しい環境で技術と知見を磨き続け、その成果を健康、ライフ、ワーク、さらには新たな領域へと広げていくことです。競技スポーツを原点とするからこそ、多くの人の暮らしに役立つ価値を生み出せると考えています。

その実現に向けて進めているのが、イノベーションセンター「MIZUNO ENGINE」です。カテゴリーや部門の垣根を越えて知見を持ち寄り、一つの競技で培った強みを別の製品や分野へ展開する取り組みが広がり始めています。例えば今年は、異なる競技カテゴリーで培った知見を融合させることで、新たなゴルフクラブ開発につながるなど、従来の枠組みでは生まれなかった発想が少しずつ形になり始めています。 このような積み重ねが、競技スポーツで磨いた技術をより幅広い価値へと発展させる原動力になると考えています。
私たちは、競技スポーツを研究開発の原点であり続けたいと考えています。その中で磨き上げた技術や知見をスポーツの枠にとどめることなく、一人ひとりの健康で豊かな暮らしや、持続可能な社会の実現へとつなげていく。人を深く理解することから生まれる“ええもん”を、これからも世界へ届け続けていきます。
ミズノ株式会社 取締役専務執行役員
(グローバル研究開発部、グローバルイクイップメントプロダクト部、ゴルフマーケテイング部、韓国事業)
中田 匠