サプライチェーンマネジメントの運用状況と実績
インパクト
- 新規サプライヤー候補工場のCSR事前評価実施社数
- 14社
- 一次サプライヤーに対する定期監査実施社数
- 38社
- 「致命的な」および「重大な」不適合件数
- 157件
国内外でのCSR調達監査実施と改善への取り組み
当社におけるCSR調達監査は、当社グループの調達先はもとより、ライセンス供与先や販売代理店の調達先までを対象範囲としています。
CSR調達の取り組みには、新規のサプライヤーとの取引開始前に行う事前評価と、取引を継続中のサプライヤーに対する定期的な監査の2段階のプロセスがあります。
また、海外の委託先工場におけるCSR調達状況の改善に向けて、その分野に精通している外部機関などと共同で取り組むことも有効であると考えており、今後の課題と位置付けています。
新規サプライヤー候補工場のCSR事前評価の実施状況
2025年度、14社の新規のサプライヤー候補に対し、事前評価(監査)を行いました。
事前評価の評価等級別のサプライヤー数の詳細は、ESGデータを参照ください。
すでに他社監査機関のアセスメントを受けている新規のサプライヤー候補が、近年増加傾向にあります。他社機関が監査を実施した結果をミズノ基準に照らして検討・評定することによって、新規のサプライヤー候補が取引開始の要件を満たしているかどうかを判定しています。
「評価B」に満たない場合の是正
当社は、事前評価で評価Bに満たないサプライヤーに対して、結果のフィードバックを行い、不適合と評価された項目について、具体的で現実的な是正や改善の方法をサプライヤーと協議します。
是正・改善計画はサプライヤーの自主性を重んじますが、適宜チェックと助言を行い、取引開始の前提となる評価B以上に到達するまでフォローアップします。
一次サプライヤーに対する監査の実施と是正に向けた取り組み
2025年度においては、他の監査機関によるアセスメントを含め、79のサプライヤー(うち国内7、海外72)に対して、評定を行いました。
このうち、直接的な監査を実施した38のサプライヤーの所在国別の評定点を下記のグラフに示しています。
評価等級別のサプライヤー数の詳細は、ESGデータを参照ください。
国別監査件数と平均点(2025年度)
外国人技能実習生を雇用するサプライヤーに対する監査の状況
2025年4月1日時点で、日本に所在するミズノのサプライヤーは106あり、そのうちの34のサプライヤーにおいて、433人の外国人技能実習生が雇用されています。外国人技能実習生を雇用するサプライヤーのうち、重要なサプライヤーとして監査対象としているのは15社で、191人の外国人技能実習生が働いています。
2025年度は6社の監査を実施し、A評価は5社、C評価が1社でした。なお、それらのサプライヤーに勤務する外国人技能実習生の国籍は、ミャンマー32人、ベトナム24人、インドネシア13人、カンボジア13人、タイ7人でした。
主なモニタリング内容
当社では、人権、労働慣行、安全衛生、および環境影響の領域に分類してモニタリングを行っています。
2025年度は、下記の表で示した通り、致命的や重大と判定された項目のあるサプライヤーがありましたが、改善・是正に向けての助言・提言を適宜行っています。
「致命的な」および「重大な」不適合の状況(2025年度)
| 分類 | 項目 | 要求事項 | 致命的 | 重大 | 該当するサプライヤーの割合(%) |
|---|---|---|---|---|---|
| 人権 | 奴隷労働/強制労働/移住労働 | 不適切な金銭の控除 | 1 | 0.6% | |
| 結社の自由 | 工場と労働者の代表との労働者の苦情を解決する仕組み | 2 | 1.3% | ||
| 労働者代表の選出方法 | 2 | 1.3% | |||
| 差別/ハラスメント/ジェンダー | 差別的な取り扱い | 2 | 1.3% | ||
| ハラスメント | 1 | 0.6% | |||
| 労働慣行 | 雇用契約 | 労働者の雇用契約 | 2 | 1.3% | |
| 労働者の社会保険 | 3 | 1.9% | |||
| 労働時間 | 労働時間の記録方法 | 2 | 1.3% | ||
| 労働時間・残業時間超過 | 16 | 10.2% | |||
| 労働者の休暇の取得 | 8 | 5.1% | |||
| 報酬 | 報酬の支払い方法 | 3 | 1.9% | ||
| 最低賃金 | 3 | 1.9% | |||
| 労働者の社会保険 | 9 | 5.7% | |||
| 残業手当 | 7 | 4.5% | |||
| 賃金明細書 | 1 | 0.6% | |||
| 安全衛生 | 労働環境 | 危険な環境に晒される労働者のための定期健康診断 | 7 | 4.5% | |
| 定期健康診断 | 2 | 1.3% | |||
| 個人防護用具(PPE)の支給 | 10 | 6.4% | |||
| 化学物質 | 化学物質の安全データシート(SDS) | 6 | 3.8% | ||
| 化学物質へのラベル表示 | 10 | 6.4% | |||
| 消防 | 建物の安全性に対する証明書/許可証 | 6 | 3.8% | ||
| 非常口および避難経路 | 5 | 3.2% | |||
| 消火器 | 4 | 2.5% | |||
| 消防検査証明書 / 許可証 | 6 | 3.8% | |||
| 出口および非常口の標識または表示 | 11 | 7.0% | |||
| 消火設備へのアクセス | 3 | 1.9% | |||
| 消防訓練 | 3 | 1.9% | |||
| 非常口の扉の開放方向 | 4 | 2.5% | |||
| 環境 | 管理システム | 環境保全活動の責任者 | 2 | 1.3% | |
| 環境に関する認可 | 2 | 1.3% | |||
| 汚染の防止 | 地域コミュニティに対する騒音(境界線上での騒音測定)の監視 | 2 | 1.3% | ||
| 廃棄物の保管場所 | 4 | 2.5% | |||
| 廃棄物の輸送と処分 | 2 | 1.3% | |||
| 廃水の排出の監視 | 4 | 2.5% | |||
| 排出された廃水 / 下水の汚染物質の排出限度管理 | 1 | 0.6% |
人権に関する不適合の内容
近年、人権意識のめざましい向上により、サプライヤーにおいても従業員の権利を抑圧するような事態はあまり見受けられなくなりました。そのような情勢のもと、2025年度の監査で検出された人権にかかわる事象は8件でした。そのうちの1件は、「従業員代表の選出方法の不備・非合理性」で2026年3月末日時点で是正が確認できず、サプライヤーにおいて対処中となっています。その他の指摘事項はすべて是正完了を確認しています。
人権以外の不適合
2025年度の監査で人権以外で不適合が検出された項目は、安全衛生と労働慣行に関してでした。
具体的な事例は下記の表のとおりです。
| 監査項目の分類 | 具体的な不適合事例 | サプライヤー数 | 該当するサプライヤーの割合(%) |
|---|---|---|---|
| 労働慣行 | 労働時間・残業時間は法的要求事項を満たしているか? | 16社 | 42.1% |
| 安全衛生 | 機械の可動/回転部分、滑車、およびベルトまたはその他の機械の危険な部分のために、適切な保護装置が設置されているか? | 13社 | 34.2% |
| 安全衛生 | 出口および非常口は、標識または表示灯と共に確認されているか? | 11社 | 28.9% |
| 安全衛生 | 個人防護用具(PPE)が労働者に支給されているか? | 10社 | 26.3% |
| 安全衛生 | 化学物質は適切にラベル表示されているか? | 10社 | 26.3% |
| 労働慣行 | すべての労働者は、現地の法的要求事項を満たす社会保険を提供されているか? | 9社 | 23.7% |
| 労働慣行 | 労働者が7日間に1日の休みを取ることは可能か? | 8社 | 21.1% |
| 労働慣行 | 残業手当は法的要求事項を満たしているか? | 7社 | 18.4% |
| 安全衛生 | 危険な環境に晒される労働者のために定期健康診断を手配しているか? | 7社 | 18.4% |
| 安全衛生 | 化学物質について、現地の言語による安全データシート(SDS)を維持管理しているか? | 6社 | 15.8% |
| 安全衛生 | 危険/有害物質は安全かつ厳重に保管されているか?
化学薬品貯蔵所の消火設備は適切か? 危険廃棄物貯蔵所の消火設備は適切か? |
6社 | 15.8% |
| 安全衛生 | すべての現場の建物が構造的に安全であり、点検され、かつ地方自治体によって発行された証明書/許可証を持っているか?(建築証明書など) | 6社 | 15.8% |
| 安全衛生 | 現地の法律または規則が要求する場合は、現地の消防行政機関によって発行された有効な消防検査証明書 / 許可証を持っているか? | 6社 | 15.8% |
不適合項目の是正状況
2025年4月から9月にかけて実施したCSR監査において検出されたすべての不適合項目は222件ありました。そのうち、2026年3月末日時点でそれらの是正を確認できたのは145件(65%)でした。なお、当年度においてCSR監査を実施したなかで、取引継続の要件を満たす評価等級に達していないことを理由に、取引関係を解消した事例はありませんでした。
不適合項目の是正状況は、ESGデータをご参照ください。
二次・三次サプライヤーへの対応
当社とは直接の取引関係がないものの、一次サプライヤーに原材料や部品・半製品を納めたり、労働力を提供したりする二次・三次サプライヤーについても、懸念される事項がないか察知するべく、2017年度から二次・三次サプライヤーに監査の対象を広げました。年度ごとに対処した内容は下記のとおりです。
| 年度 | 監査内容 |
|---|---|
| 2017 | ゴルフの部品製造のサプライヤーを2件監査しました。部品製造以外の二次・三次サプライヤーである日本の金属加工とタイの生地染色加工の製造現場の実情を把握するため、現地に赴き視察をしました。 |
| 2018 | 中国のゴルフクラブの部品製造、ゴルフクラブのメッキ、ベトナムの皮革なめし、シューズのアッパー(甲被材)製造、シューズのゴム底製造の各サプライヤーのCSR監査を実施しました。 |
| 2019 | ゴルフクラブの部品製造、シューズの甲被材・ソール製造の各サプライヤーを監査しました。そのうち、ゴルフの部品製造、ソール製造、および甲被材加工の各サプライヤーの監査で不適合となる事象を検出しました。 |
| 2020 | 2018年度および2019年度に不適合が検出されたサプライヤーの追跡監査を実施したところ、不適合項目は是正されていることを確認しました。また、ゴルフクラブ製造のサプライヤーの監査を実施しました。 |
| 2022 | ゴルフクラブの部品製造のサプライヤーを監査したところ、不適合となる事象を検出したため、2023年度に追跡監査を実施することとしました。 |
| 2023 | 2022年度の監査で不適合となる事象を検出したゴルフクラブの部品製造のサプライヤーを追跡監査したところ、是正されたことを確認しました。
アパレル、フットウエア、エキップメントの二次・三次サプライヤーの取引状況および今後の監査の要否のため、状況を確認しました。それに基づき、2024年以降の管理方法の検討を行いました。 |
| 2024 | 米国子会社による製品の調達に関し、米国関税法およびウイグル強制労働防止法への対応として、同社の調達先の一~三次サプライヤーの調査を行いました。その結果、米国税関が輸入を禁止するサプライヤーからは調達していないことを確認しました。 |
| 2025 | ゴルフの部品製造のサプライヤー1件に対して監査を行い、不適合と判断した計13項目すべての是正が完了していることを確認しました。
また、アパレル、フットウエア、イクイップメントの二次・三次サプライヤーの取引状況について再度確認を行い、今後の監査の要否を検討しました。 |
※ 2021年度は新型コロナウイルス感染防止のため監査を実施できませんでした。
サプライヤーとのコミュニケーション
委託先工場で働く労働者の人権や労働安全衛生の確保、工場の環境保全活動推進を含むCSR調達活動を推進するため、生産に関わるサプライヤーや現地スタッフと積極的なコミュニケーションを図っています。監査の際には、従業員へのインタビューや生産現場の目視確認を通して、サプライヤーの現状を把握しています。その上で、監査のクロージングミーティングでは、要求事項に対する不適合項目を指摘するとともに、是正活動に必要なアドバイスを行っています。
監査時のClosing Meeting
外国人技能実習生へのインタビュー