スポーツの振興と教育
インパクト
- 運動プログラム参加者数
- 約94.7万人
基本的な考え方
情報化社会の進展や生活環境の変化に伴い、子どもたちの体力・運動能力は世界的に低下傾向にあります。この傾向は、将来の健康状態に影響を及ぼすだけでなく、医療費の増加や労働力の低下といった形で、社会全体の活力を損なう可能性も指摘されています。こうした課題に対しては、教育機関や家庭はもちろん、社会全体での包括的な取り組みが求められています。
日本における子どもの体力・運動能力低下の背景には、次のような要因があると考えられています。
- 手軽に安全に遊べる外遊びの場が減っていること
- 幼少期に身につけるべき基本的な動作(走る・跳ぶ・投げるなど)が十分に発達していないこと
- スポーツに対する苦手意識の形成
ミズノは、こうした課題に対応するため、子どもの体力・運動能力の向上を目的とした独自の運動プログラムを開発し、全国各地の教育機関や地域と連携しながらその展開を進めています。これにより、子どもたちが運動の楽しさを実感し、自ら進んで体を動かす習慣づくりを支援しています。
ミズノ独自の運動プログラムの開発
ヘキサスロン
ミズノは、運動が苦手な子どもでも楽しくスポーツの基本的な動作を習得できる運動遊びメニューと、運動能力測定を組み合わせたプログラム「ヘキサスロン」を開発し、日本全国各地の自治体と協働して小学校をはじめとした各種施設に提供しています。「ヘキサスロン」は、安全性と機能性を考慮したミズノオリジナルの用具を用い、各自の運動能力に合わせて「走る」「跳ぶ」「投げる」の基本動作を習得できるよう構成されています。場所、プログラム、サービスをセットで提供することにより、楽しく、かつ着実に子どもたちの体力・運動能力の向上につなげることが可能となっています。
心と体を育むスポーツスクール「MISPO!」
ミズノは、子どもたちの健やかな身体の発達、自ら考える力、他者と協力する力を育むことを目的に、独自のマルチスポーツプログラム「MISPO!(ミスポ)」を開発し、2024年4月より指定管理施設(東京都3カ所、大阪府1カ所)にて運用を開始しました。
対象は小学校1~3年生で、野球、テニス、卓球、柔道など10種目のスポーツを週替わりで体験します。運動用具はミズノが準備し、認定スタッフ「ミズノプレイリーダー」が子どもたちの自主性や協調性を引き出すサポートを行います。各プログラムの終わりには振り返りを行い、子ども自身の気づきや成長を記録。保護者には、スペシャルデーで「親子参加型MISPO!」の体験や非認知力の調査などを通じてお子さまの成長過程を丁寧に伝えています。
自身で考えたことを自分の言葉で表現する子どもたち
友だちと作戦会議中!
その他
子どもの体力・運動能力の向上のためには、幼少期から身体を動かすことに慣れ親しみ、スポーツへの苦手意識を克服することが重要です。
ミズノは、スポーツに関する知識・経験が豊かなミズノスタッフが講師となり、「ミズノ・スポーツ塾」や「運動会必勝塾」などのプログラムを各地で開催しています。幼少期に身につけておくべき基本的な動きを短期集中で克服し、運動の楽しさを味わってもらうことで、運動が好きな子どもを増やすことを目指しています。
また、親子で一緒に運動を楽しむプログラムを通じて、子どもが運動の楽しさを実感し、前向きな気持ちや運動習慣を育むとともに、親子のコミュニケーション促進と健やかな成長を支援しています。
子どもの体力・運動能力の向上に関するプログラムの実績
| 項目 | 内容 | 項目 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| ヘキサスロン | |||||||
| スポーツの基本的な動作を楽しく習得できるメニューと運動能力測定を組み合わせたプログラム(※数字は国内のみ) | |||||||
| 導入数(校) | 7 | 8 | 23 | 15 | 9 | ||
| 開催数(回) | 13 | 13 | 23 | 15 | 19 | ||
| 参加者(人) | 631 | 661 | 1,569 | 179 | 537 | ||
| ミズノ流忍者学校 | |||||||
| 幼少期の成長に必要な「走る」「跳ぶ」「投げる」などの36の基本動作を盛り込み、忍者の修行に見立てたストーリー型遊び運動プログラム | |||||||
| 開催数(回) | 24 | 54 | 13 | 57 | 86 | ||
| 参加者(人) | 487
(延べ) |
865
(延べ) |
644 | 1,203 | 1,034 | ||
| ミズノ・スポーツ塾 | |||||||
| マット運動・鉄棒・跳び箱などを取り入れた、運動が苦手な子どもたちのためのプログラム | |||||||
| 開催数(回) | 60 | 45 | 41 | 50 | 44 | ||
| 参加者(人) | 1,018 | 455 | 788 | 874 | 690 | ||
| 運動会必勝塾 | |||||||
| 運動会のリレーやかけっこで1等賞をとるためのレッスン体験型プログラム | |||||||
| 開催数(回) | 8 | 5 | 5 | 7 | 6 | ||
| 参加者(人) | 259 | 215 | 165 | 316 | 186 |
ヘキサスロン
ミズノ流忍者学校
ミズノ流忍者学校
ミズノ・スポーツ塾
ミズノ・スポーツ塾
運動会必勝塾
ベトナムでのスポーツ振興
「ミズノヘキサスロン運動プログラム」導入普及促進事業
ミズノは、2015年からベトナムで「ミズノヘキサスロン運動プログラム」の普及促進事業に取り組んできました。ベトナムの義務教育期間における体育の授業時間は、先進国に比べ非常に少なく、運動プログラムも画一的で、「走る」「跳ぶ」「投げる」などのスポーツの基本動作の要素が十分に考慮されていないことが課題でした。
2018年9月には、ベトナム教育訓練省との間で、新学習指導要領における「ミズノヘキサスロン」導入に向けた協力合意を締結し、同国小学校1,000校に対してスポーツ用具の提供を行いました。
また、同年10月には導入と定着に関する協力覚書を締結し、モデルケースの創出を各地で推進しました。これを受けて同年12月以降、ベトナム全63省を対象に導入普及活動を展開しました。
小学校教師を対象とした指導員養成ワークショップには、2019年末までに約1,700人が参加し、各校での指導を通じて多くの児童が本プログラムを活用した体育授業を受けてきました。
2020年3月以降は新型コロナウイルス感染拡大の影響により集合型の活動を見合わせましたが、参加教師による各地での授業実践は継続されています。
2022年6月には本事業が評価され、ベトナム国家主席府より特別感謝状が授与されました(2022年6月27日 ミズノ大阪本社にて授与)。
2023年1月時点では、ベトナム全63省のうち200校(公立126校、私立等74校)で課外授業として導入されています。ベトナムには約15,000校の公立小学校が存在することから、当社は教育訓練省とともに義務教育化に向けた検討を進め、2023年10月には両国大臣立会いの下、新たな協力覚書を締結しました。
これらの取り組みを踏まえ、近年は義務教育への本格導入に向けた具体的な活動を進めています。
| 年度 | 活動内容 |
|---|---|
| 2024年度 | ベトナム義務教育への導入に向け、教育訓練省と協力活動を開始。
合計13省(合併前)の体育教員約130名を対象に、ベトナム現地でヘキサスロン研修会を実施。 ※ 2025年7月の行政再編(63省・市→34省・市)後では、参加自治体は9省に相当。 |
| 2025年度 | 「日越ヘキサスロン普及プロジェクト2025年度実施計画協議会」をハノイ市(教育訓練省)にて開催。
教育訓練省より普通教育局局長、体育学博士等が出席し、長期的な協力方針を確認。 また、2024年度の成果評価を実施するとともに、2026年度以降の研修会の方向性について意見交換を実施。 |
ベトナム国家主席府より特別感謝状を受章
ミズノオリジナルライセンス「ミズノプレイリーダー」の普及
ミズノは、子どもたちがいきいきと遊べるような環境をつくり、子ども同士の主体的な遊びを見守る「ミズノプレイリーダー」の育成に取り組んでいます。子どもに接する機会が多い企業、大学、行政、教育関係者に、プレイリーダーとしての基礎知識と実技を身につけていただき、運動遊びの基本的な内容を研修する活動を実施しています。この研修活動を社内外に普及させており、現時点で全国各地に約 1,200人のミズノプレイリーダーの輪が広がっています。子どもたちと全力で向き合い、子どもたちの信頼を得て、いざという時は全力で守ります。
ミズノプレイリーダー
ミズノプレイリーダーライセンス取得者数
(人)
| 社内 | 社外 | 総数 | |
|---|---|---|---|
| 1級 | 4 | 0 | 4 |
| 2級 | 32 | 10 | 42 |
| 3級 | 317 | 1,172 | 1,489 |
| 合計 | 353 | 1,182 | 1,535 |
子どもの運動習慣向上を目指す運動遊びプログラムの研究
グローバル研究開発部では、幼稚園の自由遊びにおいて、先生の子どもへの関わりが、子ども同士のコミュニケーションにどのような変化をもたらすかをテーマに研究しています。先生から子どもへの問いかけ、タイミング、更には運動遊びスペースの作り方によってコミュニケーションが変わることがわかりました。研究の成果は、2026年3月に開催された第37回日本発達心理学会で発表しました。
子どもたちの発達を促す運動遊びプログラムの提供
スポーツにおける正確な動作や、日常生活における細かな動作が苦手で、物をよく落とす、ハサミや刃物がうまく扱えないなど生活の中で支障を感じている子どもたちを対象とした運動遊びプログラムを提供しています。このプログラムを通じて、身体の動かし方や巧緻性を改善することで子どもたちの発達を促していきます。
今後の課題
現代の子どもたちには、遊ぶ「空間」「仲間」「時間」の3つの「間」がないといわれています。また、保護者からは「子どもとの遊び方が分からない」という声も耳にします。
ミズノは、子どもがいきいきと遊べるような環境づくりと、それを見守る「ミズノプレイリーダー」の育成を行っています。
プレイリーダーは、おもしろく夢中になれる遊びや運動を提供することで、子どもたちが主体となって子ども同士で遊べるような環境を作っています。このプレイリーダーを広く社内外で普及させ、運動遊びを通じて子どもたちの健全な心と体づくりを支援していきます。
また、今後はプレイリーダーが活躍する「場」も創出していきたいと考えています。そのためには、プレイリーダーが普及する上で今後想定される課題の抽出と、保護者への啓発活動を同時に行い、プレイリーダーの認知をさらに拡大させていく必要があります。プレイリーダーが世の中に広く認知されるよう、運動遊びプログラムやイベントを通じて、より一層の浸透を図っていきます。