財務担当役員メッセージ
「理」と「利」の統合で、すべてのステークホルダーの
皆さまへ“ええもん”を届けていきます。
おかげさまで、2025年3月期決算は売上高・各区分利益ともに過去最高を更新しました。当社は「より良いスポーツ品とスポーツの振興を通じて社会に貢献する」という経営理念のもと、祖業である野球をはじめ、サッカーやバレーボール、ゴルフなどの球技、ランニング、水泳、ウインタースポーツなど幅広い分野で事業を展開しています。たとえ採算性が高くない分野であっても、その社会的な意義や、お客さまとの信頼関係を何より大切にする――それが私たちの信念です。そのうえで、株主さまの期待にしっかりと応えるために、こうした領域においても収益性の向上に着実に取り組むことが重要であると認識しています。当社は創業以来「利益の利より道理の理」を重んじ事業を展開してきました。この考えを原点としながら、当社が持つ固有の技術やサービスを複数分野に応用するなどの総合力を活用して、社会課題の解決に貢献するという「理」、株主さまの期待に応える適切な「利」、この「理」と「利」を統合するかたちで持続可能な成長を目指したいと考えています。
サステナビリティと収益の両立を考えるとき、当社のスポーツ分野での知見は、大きな可能性を持っています。例として、猛暑や集中豪雨などの気候変動リスクに対応する製品開発が挙げられます。当社ではワークシーンにおける快適性・安全性に配慮した商品、それを通じた労働環境の改善に力を入れており、財務的にも大きな成長を遂げています。ワークビジネスにおいては、2027年売上高目標200億円を見据え、今後も安定的な事業拡大を目指します。
加えて、健康や教育分野での取り組みも進めています。教育分野では、子どもたちの運動機会の減少が指摘されるなかで「ヘキサスロン」や「MISPO!」といった運動プログラムの提供、部活動の地域移行支援などを行っています。健康分野では、高齢者向け運動プログラムや用品の開発を通じて、暮らしに根差した価値を提供しています。こうした取り組みは、社会的意義はもちろん、スポーツの枠を越え、生活全般でのお客さまとの接点づくり、長期的な顧客生涯価値(LTV)の最大化にもつながると考えています。
現在、イノベーションセンター「MIZUNO ENGINE」では「競技」「ワーク」「健康」「教育」「環境」を研究テーマとして開発を進めています。これらは、当社のマテリアリティとも対応しており、今後は、これらの研究テーマとマテリアリティとの関係性をより明確に可視化するとともに、財務的KPIとの統合を図ることで、事業戦略とサステナビリティの一貫性を高め、より説得力のある価値創造ストーリーへとつなげていきます。
また、当社では創業以来の「Fair Play」の精神に則り、サプライチェーン上の人権リスクに対し厳しいCSR監査を実施しています。財務的観点からも、このような「リスクを顕在化させないための取り組み」は非常に重要であり、一層の緊張感を持って臨んでいきます。
今後は、Direct to Consumer(DTC)領域の拡大を目指したeコマースの利便性向上や、成長市場であるインド・南米への展開など、将来を見据えた投資も強化していきます。同時に、仕入先・卸先との公正取引や、従業員への処遇向上、株主さまへの還元など、多様なステークホルダーの皆さまと信頼関係を構築しながら、適切な資本配分に努めたいと思います。
今後も、ますます高まるサステナビリティへの要求に対し、「理」と「利」の両面から、企業としての責任と成長戦略を両立し、すべてのステークホルダーとともに、持続可能な未来を築いてまいります。
ミズノ株式会社 執行役員
(経理財務部、ロジスティクス管理室、法務室、内部監査室、台湾事業)
村上 喜弘