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サステナビリティの追求と企業価値の向上を通じて、
すべてのステークホルダーに“ええもん”を届け続けていきます。

ミズノのパーパス、ビジョン、バリューズに込めた思い

現代社会は、先を見通すのが困難な変化の激しいVUCAの時代を迎えています。こうした時代に大切なことは変化を予測し迅速に対応することです。マスプロダクション消費からパーソナルな消費に移行し、ものは少なく、廃棄も少なく、という消費者意識の変化に合わせた新たなビジネスプランを作っていくことが重要です。
しかし、時代が変わっても、私たちの信念や思い、哲学といった確固たるものは変えてはいけないと考えています。時代に流されて、自らが思っていることと違うことをしてしまうということにならないよう、もう一度原点に立ち戻って、変えてはいけないものは何か、私たちは企業として何を目的に存在しているのかということを見つめ直しました。
ミズノは1906年の創業以来、「より良いスポーツ品とスポーツの振興を通じて社会に貢献する」という経営理念を掲げ、“ええもん”を作り続けてきました。私たちにとって、まさに経営理念こそがパーパス(存在意義)であり、「“ええもん”を世界に届け続ける」ことが使命、すなわちビジョン(目指すべき未来像)です。そして、これらを実現するための価値観として、以前から変わらず持ち続けている「Fair Play、Friendship、Fighting Spirit」という「3F」の精神が私たちのバリューズ(大切な価値観)です。
ミズノグループの全従業員が、パーパス、ビジョン、バリューズを心の中に留め、持続可能な未来に向けて、新たな企業価値を創造していきます。

“スポーツの復活”を実感した1年

2023年度は、“スポーツの復活”を実感した1年となりました。新型コロナウイルス感染症が、5類感染症に移行されたことにより、国際的なスポーツイベントが数多く開催され、「観るスポーツ」の価値が高まりました。以前にも増してスポーツが愛されるようになったと感じています。経済活動も活発になり、インバウンド需要の回復というプラス要素が見られる一方、急激な為替変動や、原材料価格の高騰が懸念されています。こうした社会情勢の変化による当社への影響は今のところ限定的ですが、さまざまなリスクや被害を最小限に抑えるための対策と準備は継続的に実施していきます。

地球規模では、地球温暖化による極端な気候現象が年々増加しており、世界各地で洪水や干ばつなどの被害が発生しています。当社はバリューチェーンでの環境活動や環境に配慮した製品の開発・販売などを通して、温室効果ガス排出量の削減を進めるとともに、植林などによる環境保護活動にも引き続き努めていきます。また、人権の尊重や労働環境の改善要請に対する世界の目も厳しくなっています。アジア太平洋地域などの安価な労働力に頼ったビジネスモデルは通用しません。当社は、サプライヤーに対するCSR監査を通じて、働く人の人権や労働環境に問題がないか監視を続けており、引き続きその責任を果たしていきます。
こうしたサステナビリティへの取り組みは、以前はコストと捉えていた時代もありましたが、今は当社にとって必要な投資であると考えています。欧米などの消費者を中心としたエシカル消費も浸透しており、サステナビリティに取り組まない利益至上主義の企業は市場から退場を迫られることになります。

技術力と人材への投資により企業価値を創造していく

当社の製品は、機能性やフィッティングなど「品質の良さ」がお客様から支持されていると考えています。例えば、現在トップシェアとなったフットボールシューズでは、販売開始から30年以上経った「モレリアシリーズ」が、新製品においても変わらない履き心地を実現し、それが高く評価されています。これは、当社の強みである技術力や開発力あってのことです。新しいイノベーションセンター「MIZUNO ENGINE(ミズノエンジン)」はこれらの強みを強化するための一手であり、今後も継続的に投資し、必要な機材や人材などのリソースを集中させていきます。

「MIZUNO ENGINE」では、「はかる」「つくる」「ためす」の機能を1カ所に集約し、オープンイノベーションで開発を進めており、部門の垣根を越えた活発な議論や、試作品の開発がスピード感をもって進んでいます。開発部門の人だけでものづくりを進めるのではなく、全従業員が新しいチャレンジに取り組めるような仕組みも整備しました。自分の業務のうち10%までは新しい仕事に取り組むことができる制度で、アイデアを募り役員が審査します。提案次第では、事業化や新しい会社の立ち上げも可能で、これまでに800件以上のアイデアが出て、事業化が進んでいるものもあります。

私は、まずは挑戦する文化や風土を社内に作り上げたいと考えています。スポーツ事業だけに頼るのではなく、まったく新しい事業や戦略につながるような種をまき、それを育てていくことが大事だと思っています。

変化するスポーツの価値と私たちの取り組み

近年、スポーツの価値が大きく変化しています。アスリートの体力や技術は目覚ましく進化しており、今後はよりパーソナルな能力に合わせたスポーツ用品の開発が求められてきます。用具に対する規制も変化しており、飛び過ぎないゴルフボールや高校野球の金属バットなど、これまで当社が進めてきたハイパフォーマンスを追求したものづくりとは真逆の対応が必要になっています。こうした変化を見定め、「MIZUNO ENGINE」が中心となって、さらなるイノベーションを創出していきます。
また、日本国内は少子高齢化の影響でスポーツ人口はますます減少していきます。これからは、スポーツが好きで得意な人だけでなく、苦手意識のある人でも楽しめるスポーツプログラムや製品の開発を進めていきます。また、国内だけでなく、海外市場にもこれまで以上に目を向けるとともに、スポーツ以外の分野にも果敢にチャレンジを続けていきます。
私たちは、パーパス、ビジョン、バリューズのもと、不正行為を許さない誠実な企業姿勢を貫き、“ええもん”をお客様に届け続けていきます。サステナビリティの追求と業績の向上を通じて、株主への還元や従業員の昇給だけでなく、仕入先や得意先にも幸せになってもらえるような環境を作っていきます。今後もステークホルダーの皆さまの一層のご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

ミズノ株式会社 代表取締役社長

水野明人