重要課題のマネジメントアプローチ
なぜ重要か(重要性の理由)
ミズノの委託先工場の多くが所在するアジア太平洋地域は、一般的に人権、労働、環境面での懸念が大きい地域といわれています。当社グループは、「良いモノづくり」とは、製品が安全・安心、かつ高品質であることはもちろん、その生産工程において人権、労働、環境面などが国際的な基準からみて適切であることが重要であるとの考えのもと、CSR調達を推進しています。なかでも、人権の尊重は、今後さらにグローバルにビジネスを拡大する上でより重要であると認識しており、「人権を尊重した責任ある調達」をマテリアリティとして掲げ取り組んでいきます。
マネジメント方針
当社は、世界人権宣言やILO中核的労働基準を含む労働関連の国際行動規範を尊重しています。また、世界的に採択・合意された普遍的な価値として国際社会で認められている国連グローバルコンパクトの定める4 分野(人権、労働、環境、腐敗防止)10 原則の一連の本質的な価値観を容認し、支持し、実行に移すよう努めています。
事業を展開する国々の労働時間、報酬、労働組合選択権および団体交渉権、労働条件、その他を含むあらゆる労働関連法規に従い、個人が尊厳と公正さと尊敬の念をもって扱われるような職場づくりを目指しています。当社は、社会的責任に関する国際的なガイダンスであるISO26000の観点を加えた「ミズノCSR調達行動規範」を定め、当社の考えをサプライヤーにも伝えるとともに、これらの原則を遵守することを要請しています。
さらに、工場で働く労働者が「ミズノCSR調達行動規範」の内容を理解できるように、主要な工場が所在する各国の言語に翻訳した「ミズノCSR調達行動規範 」を工場に掲示するよう求めています。
マネジメント体制
CSR調達活動を推進するのは、CREW 21 CSR調達委員会です。当委員会は、常務執行役員を委員長として、生産部門、工場部門、品質保証室や全社的な管理部門から選ばれたメンバーで構成しています。当委員会は、CSR調達監査の進捗報告をするとともに、「ミズノCSR調達行動規範」の遵守の推進、CSR調達活動のグローバルでの対応などについて討議しています。
サプライチェーンの状況
ミズノは、さまざまな外部組織との協働を通じ、より良いスポーツ品の供給に努めています。スポーツシューズ、スポーツウエアおよびゴルフクラブなどの製品を自社工場ならびに委託先工場で製造しています。主要な委託先工場の所在国は、日本、中国、韓国、台湾、インドネシア、ベトナム、タイ、フィリピン、ミャンマー、カンボジアなどです。
ミズノは、「ミズノCSR調達行動規範」を遵守するCSR調達活動を展開しており、委託先工場にその内容を理解していただいた上で、委託先工場の人権、労働安全衛生、環境などの取り組みに問題があれば指摘し、是正を進めるCSR調達監査を行っています。
サプライチェーン全体の状況
ミズノの一次サプライヤーの調達品カテゴリー別、および国・地域別の内訳は以下の通りです。
一次サプライヤーの内訳
サプライヤー数 | 調達金額割合 | |||
---|---|---|---|---|
サプライヤー全体 | 508社 | 100% | 100% | |
カテゴリー別 | アパレル | 293社 | 58% | 37% |
シューズ | 31社 | 6% | 44% | |
イクイップメント | 184社 | 36% | 19% | |
国・地域別 | 日本 | 128社 | 25% | 19% |
中国 | 204社 | 40% | 20% | |
韓国 | 15社 | 3% | 0% | |
台湾 | 32社 | 6% | 1% | |
インドネシア | 18社 | 4% | 3% | |
ベトナム | 60社 | 12% | 44% | |
タイ | 9社 | 2% | 5% | |
フィリピン | 4社 | 1% | 2% | |
ミャンマー | 11社 | 2% | 2% | |
カンボジア | 9社 | 2% | 4% | |
その他 | 18社 | 4% | 1% |
※ 割合は、小数点以下を四捨五入。合計が100%にならない場合がある。
重要なサプライヤーの状況
年間取引金額、占有率、その他調達品の重要性などの観点から、ミズノの事業継続や事業価値にとって影響の大きいサプライヤーを重要なサプライヤーと位置付けています。
重要なサプライヤーの状況(一次サプライヤー)
重要なサプライヤーの数 | 150社 |
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全一次サプライヤーに占める重要なサプライヤーの割合 | 30% |
全調達金額に占める重要なサプライヤーからの調達金額の割合 | 95% |
重要なサプライヤーのうち、ミズノが大口納入先※となっているサプライヤーの割合 | 58% |
※ 当該サプライヤーの発注金額の30%以上がミズノ向け取引の場合
サプライヤー情報の開示
ミズノはサプライチェーンの透明化の一環として2017年度から工場リストを開示しています。
国内外でのCSR調達監査実施と改善への取り組み
当社におけるCSR調達は、ミズノ本社はもとより海外支店・子会社やライセンス契約をしている販売代理店の調達先までを対象範囲としています。CSR調達活動には、取引開始前のサプライヤーのCSR事前評価と、取引中のサプライヤーの定期的なCSR監査の2つが含まれています。
取引開始前のCSR事前評価では、主要な新規サプライヤーを「ミズノCSR調達規程」に基づき人権・労働慣行・環境面から評価し、当社の取引開始基準に適合したサプライヤーからの調達を確かなものとしています※。さらに、国内外でCSR調達説明会を開催し、ミズノのCSR調達の考え方を説明しています。また、取引中のサプライヤーへのCSR監査については、監査対象となる工場を独自の基準で選定し、定期的(3年で一巡)に監査を実施しています。
通常、監査は二者監査の形態で実施し、当社の基準に基づいて、外部の専門機関の複数名の監査員が監査に当たります。当社のCSR監査は、問題の発生を未然に防ぐことを目的に実施しており、監査によって問題が発見された場合は、状況を改善させるための適切な是正措置を検討した上でサプライヤーに働きかけるなど、監査後のフィードバックを重視しています。また、当社は、海外の委託先工場におけるCSR調達状況の改善は、その分野に知見を持つ団体や同業他社と共同で取り組むことが有効であると考えており、サプライヤーのCSR調達状況改善に向けた社外組織との協働にも積極的に取り組んでいます。
※ 取引前のCSR事前評価およびCSR監査対象工場については、「取引額」および「当社の生産シェア」に基づき選定しています。なお日本国内および中国では、主にミズノグループの訓練を受けた社内の監査員が監査を実施します。


CSR監査の様子
パフォーマンス ハイライト
新規サプライヤー候補工場のうち、CSR事前評価を実施した比率
2019年度 | 100% |
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2020年度 | 100% |
2021年度 | 100% |
国内外の一次サプライヤーにおけるCSR監査実施数
2019年度 | 31社 |
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2020年度 | 23社 |
2021年度 | 17社 |
CSR監査の評価C以下の1工場における追跡監査の実績
評価A/1件
海外の二次サプライヤーにおけるCSR監査実施数
2019年度 | 6社 |
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2020年度 | 1社 |
2021年度 | 0社 |
※ 2021年度は、新型コロナウイルス感染防止措置として外部からの訪問者の入場制限などを実施したため、監査を実施できませんでした。
なお、2022年度以降は、新たに特定した主要取り組み指標(KPI)の進捗を管理し、情報開示を行っていく予定です。
- 主要取り組み指標(KPI): 致命的・重大不適合項目の6か月以内の是正率改善
- 2022年目標: 65% (2021年実績44%)