製品における環境影響の緩和

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基本的な考え方

ミズノは、中期・長期の環境目標達成に向け、プロダクト部門ごとに代表的な製品においてライフサイクルアセスメント(LCA)を実施しています。原材料の調達から廃棄に至るまでの製品のライフサイクルにおける環境負荷を分析・把握し、ライフサイクル全体での環境負荷の緩和を推進しています。
原材料の調達においては、リサイクル素材や植物由来材料を採用し、耐久性の向上やメンテナンス、リペアによる製品の長寿命化にも取り組んでいます。
また、スポーツ施設の施工および運営管理においては廃材の抑制、リサイクル材の採用など、環境に配慮した手法を施主や発注者に提案しています。

商品ライフサイクルにおける環境負荷の把握

2023年には、大阪府の「サプライチェーン全体のCO2排出量見える化モデル事業」に参画し、アパレルとイクイップメント分野のカーボンフットプリント(CFP)に関するCO2排出量の算定および報告を行いました。ミズノは多種多様な製品を製造・販売しているため、正確性と業務負荷のバランスの取れた方法の確立が必要です。今後もライフサイクルアセスメント(LCA)やCFPの分析を進め、環境負荷の低減に取り組んでいきます。

植林によりCO2排出をオフセットしたランニングシューズ

ミズノは、商品ライフサイクル(原材料調達~製造~輸送・販売~使用~廃棄)から排出されるCO2をオフセット(排出量の埋め合わせ)する初めてのランニングシューズ「WAVE NEO COLLECTION(ウエーブネオコレクション)」を2022年9月から世界同時発売しています。
WAVE NEO COLLECTIONは、フルマラソンにも使用可能なパフォーマンスランニングシューズの機能をそのままに、環境への負荷を低減するシューズを生み出すことを目指して企画・開発しました。このシューズは、原材料にリサイクルポリエステルや植物由来材料など、環境に配慮した素材を使用することでCO2排出量を抑制するとともに、アッパーニット材料を無染色とすることで水資源を保全し、環境負荷を低減しています。2023年8月に発売した新色ブラックカラーモデルは、原料自体に染料を混ぜて着色した原着糸をアッパーニット材料に使用しており、染色工程の水使用も削減し、環境負荷を低減しています。
さらに、これらのシューズの商品ライフサイクルで排出されるCO2を吸収することを目的として、米国のNational Forest Foundation(米国森林基金)と協力し、米国ジョージア州チャタフーチにおいて、ロングパインツリー約10万本の植林を2022年1月から2月に、米国アイダホ州ボイジーにおいて、ポンデローサ松とアメリカ松、約5万本の植林を2023年4月から5月にそれぞれ実施しました。 これらの樹木は、今後100年近い歳月にわたり、大気中のCO2を吸収し続けます。これにより、今期全世界で販売される「WAVE NEO COLLECTION」(約2万足) の商品ライフサイクルにおけるCO2排出量を、植林によるCO2吸収量で埋め合わせ※、CO2をオフセットする商品となります。今回の植林により「WAVE NEO COLLECTION」に関わるミズノの累計植林数は約16万本となります。

※ 商品ライフサイクルにおけるCO2排出量と植林によるCO2吸収量に関しては、認証機関DNVビジネス・アシュアランス・ジャパン株式会社による第三者検証を受けています。

DNVによる確認の結果はこちらをご参照ください。

さらにミズノの報告もこちらで読むことができます。

写真:WAVE NEO COLLECTIONのパフォーマンスランニングシューズ

CO2排出をオフセットしたランニングシューズ

写真:認証機関DNVビジネス・アシュアランス・ジャパン株式会社による第三者検証

WAVE NEO COLLECTION のさらなる詳細についてはこちらをご参照ください

野球用具のリペア活動の取り組み

野球グラブはプレイヤーにとってできれば長く付き合いたい道具の一つですが、長年使い続けていると汚れ、ほつれ、破れなど劣化が生じます。しかし、修理など手入れをすれば、愛用のグラブを長く使い続けることができます。ミズノは、1977年からグラブの損傷箇所を補修するリペア活動を行っています。クラフトマンが出張して修理の対応をするワークショップ活動も展開しています。1978年から米国でも同活動を開始しました。また近年、日本においては野球スパイクの修理も手掛けています。こうしたリペア活動は2022年4月から2023年3月までの期間において、グラブで約2,200件、スパイクで約2,500件実施し※1、これにより約1.8トン※2の廃棄物削減に貢献できたと考えています。
また、得意先であるスポーツ店のスタッフにミズノが長年培ってきた修理技術を伝授する活動も進めており、リペア活動の裾野が広がる取り組みを実施しています。さらに、このリペア活動を通じて、子どもたちにモノを大切にすることの重要性を伝えていきたいと考えています。

※1 日本におけるリペア件数

※2 ミズノ調べ

画像:グラブの損傷箇所を補修するリペア活動を推進

グラブの損傷箇所を補修するリペア活動を推進

原材料の使用とリサイクル

ミズノでは、製品の種類が多岐にわたるため、製品に使用する原材料の種類を全てリストアップすることは困難と判断し、主要なプロダクトで使用している主な原材料について報告します。原材料には、植物由来原料やリサイクル原料なども採用しています。リサイクル原料の採用は、従来のシューズとアパレルに使用する材料への取り組みに加えて、野球用具にもその採用を拡大しています。

シューズ:リサイクルポリエステルをアッパーに採用、植物由来材料(Pebax® Rnew®/Rilsan®)をウェーブプレートに使用、染色しないアッパーニット材料を採用、ミッドソールと中敷きに藻類ベースの素材「BLOOM」を採用するなど

アパレル:ペットボトルをリサイクルした素材、植物由来合成繊維、生分解性合成繊維、米の籾殻を再利用した素材など

新幹線のアルミニウムをリサイクルしたバット

ミズノは、JR東海グループと共同で、東海道新幹線のリサイクルアルミニウムを原材料とする子ども用のアルミニウムバットを開発しました。
JR東海グループでは、廃車となった東海道新幹線の車体から出る大量のアルミニウムをリサイクルする手法を確立し、特許を取得しました。この「東海道新幹線アルミ」は、アルミニウムを新製する場合に比べて、CO2排出量を約97%低減することができます。

画像:新幹線のアルミニウムをリサイクルしたバット

新幹線のアルミニウムをリサイクルしたバット

「大阪マラソン2024」におけるアパレルリサイクル活動

地球温暖化に伴う気温上昇により、ランニングなど屋外でスポーツを行うことが難しい場面が増えてきています。いつまでもスポーツを楽しめる地球環境を守るため、ミズノでは使用済みアパレルを回収し、それらを資源として活用するリサイクル活動を推進しています。
2024年2月に開催された「大阪マラソン2024」では、EXPOのブースに回収ボックスを設置し、使用済みアパレルの寄付を受け付けました。

画像:使用済みアパレルの回収ボックス

使用済みアパレルの回収ボックス

製品の製造工程における環境負荷低減の取り組み

原着糸を使用し水資源を保全するランニングアパレル

ミズノは、2023年秋冬シーズンの機能性ランニングアパレルであるドライエアロフローTシャツに、原着糸の使用を開始しています。原着糸とは、糸になる前の原材料の段階で着色された糸のことで、これを使って繊維を編むことで、一般的なアパレルの染色工程を簡略化し、エネルギー使用の低減、水資源の保全に貢献できます。

画像:原着糸を使ったランニングアパレル

使用済原着糸を使ったランニングアパレル

日本野球機構(NBP)統一試合球外箱の環境負荷低減

一般社団法人 日本野球機構(NPB)に供給している統一試合球を入れる外箱の素材を、カラー印刷とコーティングを施した塗工紙から、森林保全に配慮された原材料を使用した単色印刷の段ボールに変更しました。これにより、紙箱の製作の際に排出される温室効果ガスを従来から年間で約13.9トン(約66%)※1削減することができます。まずは日本のプロ野球用から変更し、今後、その対象範囲を拡大させていく計画です。ミズノは商品そのものだけではなく、梱包資材も環境負荷の低いものを採用することで、豊かな地球環境を守り、次の世代に引き継ぎたいと考えています。

画像:塗工紙(左)から段ボールに変更

使用済原塗工紙(左)から段ボールに変更

※1 ミズノ調べ

ワーカー向けユニフォームの取り組み

ミズノは、スポーツ用品開発で培った技術や知見を活用して、建設、運輸、製造業などのワーカー向けシューズやアパレルなどの製造、販売も行っています。

メディカル市場においても商品展開をしており、医療従事者向けに、環境に配慮した素材を採用したアパレルを販売しています。一般的にアパレル産業では、回収された使用済みアパレルや、製造時に排出される繊維くずなどが存在します。これらを廃棄するのではなく、化学的に処理を施し、原糸として再生するケミカルリサイクル処理を行い再利用する取り組みが進んでいます。

ミズノのメディカルアパレル(Vネック医療用白衣のスクラブ、パンツ、ジャケット、ドクターコート)にはこうしたケミカルリサイクルされたポリエステルを採用しています。

画像:ケミカルリサイクル素材を使用したメディカルアパレル

ケミカルリサイクル素材を使用したメディカルアパレル

製造工程で生まれた製品の端材を有効活用する取り組み

木製野球バットの端材利用

ミズノの主力製品の一つが木製野球バットです。自然資源の木材には節があるため、製造工程の途中でバットには不適格材として利用されない端材が発生します。当社は、野球で必要とされる強度や外観を満たせない端材を廃棄することなく、アイデア一つで役に立つ、価値のあるモノにつなげようと日々検討しています。

動物園での木製野球バット不適格材の活用

大阪の天王寺動物園に、木製野球バットの不適格材を300本寄贈しました。これらの木材は、オウム科のキバタンの止まり木や、オナガザル科のブタオザルの渡り木、さらには園内の柵にも使用されています。天然素材ならではの安らぎを動物たちが感じてくれればと願っています。

画像:オウム科のキバタン

各木製野球バット不適格材の利用についてはコチラをご参照ください。

野球グラブ端材の利用

ミズノの野球グラブは、弾力性や耐久性などを考慮し、良質な革からグラブの各部位に適したパーツを切り出し、熟練のクラフトマンの手によって製造されています。この製造工程から、どうしても使用されない端材が大量に発生することが課題となっていました。
これらの端材を廃棄せずに再利用する方法を考える中で、“継ぎ接ぎでもグラブを製作できないか”とのアイデアから、軟式野球用グラブ「TSUNAGI GLOVE」を開発しました。
クラフトマンの技術で、多くのパーツを組み合わせ、なおかつしっかりとボールが捕れるグラブの立体形状の成形を実現しました。端材のランダムな組み合わせにより、一つとして同じものがない個性的なデザインに仕上がっています。

画像:軟式野球用グラブ「TSUNAGI GLOVE」

軟式野球用グラブ「TSUNAGI GLOVE」

環境に配慮した原材料の研究開発

ミズノは、石油由来の原材料に代わる非石油由来の原材料について研究開発を実施しています。なかでも、植物性由来の原材料として有力な候補と考えているセルロースナノファイバーなどのナノ材料の研究開発を行っています。

今後の課題

ミズノの事業活動全体の温室効果ガス排出量のうち、その他の間接的な排出であるScope3の占める割合は約97%です。特に「購入した製品・サービス」が全体の約80%を占めるため、製品を通じた温室効果ガス排出量の削減が重要と認識しています。今後も温室効果ガス排出量の低減に向けた製品の企画開発を推進します。