製品における環境影響の緩和
基本的な考え方
ミズノは、中期・長期の環境目標達成に向け、プロダクト部門ごとに代表的な製品においてライフサイクルアセスメント(LCA)を実施しています。原材料の調達から廃棄に至るまでの製品のライフサイクルにおける環境負荷を分析・把握し、ライフサイクル全体での環境負荷の緩和を推進しています。
原材料の調達においては、リサイクル素材や植物由来材料を採用し、耐久性の向上やメンテナンス、リペアによる製品の長寿命化にも取り組んでいます。
また、スポーツ施設の施工および運営管理においては廃材の抑制、リサイクル材の採用など、環境に配慮した手法を施主や発注者に提案しています。
商品ライフサイクルにおける環境負荷の把握
2023年には、大阪府の「サプライチェーン全体のCO2排出量見える化モデル事業」に参画し、アパレルとイクイップメント分野のカーボンフットプリント(CFP)に関するCO2排出量の算定および報告を行いました。ミズノは多種多様な製品を製造・販売しているため、正確性と業務負荷のバランスの取れた方法の確立が必要です。今後もライフサイクルアセスメント(LCA)やCFPの分析を進め、環境負荷の低減に取り組んでいきます。
植林によりCO2排出をオフセットしたランニングシューズ 第3弾
ミズノは、持続可能な社会の実現に向けて「2050年 ネットゼロ」を目指しています。
その取り組みの中で、パフォーマンスランニングシューズの機能はそのままに、環境への負荷を低減するシューズを生み出すことを目指し、2022年から「NEO COLLECTION(ネオ コレクション)」を展開しています。
2024年には第3弾となる「MIZUNO NEO VISTA(ミズノ ネオ ビスタ)」を発売しました。
このシューズはアッパーとソールにリサイクルポリエステル、植物由来、水溶性プリントなどの低環境負荷材料を約60%使用し、同じデザインですべて石油由来の材料を使用しアッパー材を染色加工する場合と比べて、約17%のCO2排出量削減を実現しています。また環境負荷になる藻を既存材と混合した材料を、当社として初めてソールの一部に採用しました。
さらに「NEO COLLECTION」では2022年の発売以来、シューズの商品ライフサイクルにおいて排出されるCO2を吸収することを目的として、米国National Forest Foundation(米国森林基金)と協力し植林活動を続けており、今回の「MIZUNO NEO VISTA」でもこの活動を継続。約10万本の植林を行いました。
National Forest Foundation植林報告書によると、これらの樹木が吸収するCO2量は、20,600台の車が1年間あたり排出するCO2量に相当します。※1
これにより「NEO COLLECTION」に関わる累計植林本数は26万本超となりました。これらの樹木は、今後100年に近い歳月にわたり、大気中のCO2を吸収し続けます。
※1 情報元U.S. Environmental Protection Agency
原材料の使用とリサイクル
ミズノでは、製品の種類が多岐にわたるため、製品に使用する原材料の種類を全てリストアップすることは困難と判断し、主要なプロダクトで使用している主な原材料について報告します。原材料には、植物由来原料やリサイクル原料なども採用しています。
リサイクル原料の採用は、従来のシューズとアパレルに使用する材料への取り組みに加えて、野球用具やヘルシーインテリア製品にもその採用を拡大しています。
| 代表例 | リサイクル原料 |
|---|---|
| イクイップメント | 廃車される列車の車体アルミニウムを金属バットに再生、同じく廃車される列車のシート生地をトレーニング用具に採用、野球用などチーム向けバックパックの裏地にリサイクルポリエステル素材を採用など |
| シューズ | リサイクルポリエステルをアッパーに採用、植物由来材料(Pebax® Rnew®/Rilsan®)をウェーブプレートに使用、染色しないアッパーニット材料を採用、ミッドソールと中敷きに藻類ベースの素材「BLOOM」を採用するなど |
| アパレル | ペットボトルをリサイクルした素材、植物由来合成繊維、生分解性合成繊維、米の籾殻を再利用した素材など |
『東海道新幹線再生アルミ』バット第2弾
~東海道新幹線開業60周年記念 新幹線0系モデル~
ミズノは、東海旅客鉄道株式会社(以下「JR東海」)、ジェイアール東海商事株式会社とともに、東海道新幹線の車両に使用していたアルミをリサイクルした子供用の金属バットを共同開発し2023年にミズノ史上初のアルミリサイクルバットを発売しました。
『東海道新幹線再生アルミ』は、アルミを新製する場合に比べ、製造時に必要なエネルギーを抑えられるため、CO2排出量を97%削減し、環境への負荷を軽減することができます。
(社団法人日本アルミニウム協会算出データ)
2024年には第2弾として、初代新幹線「0系」をモデルとしたバットを発売(『東海道新幹線再生アルミ』約95%使用)。バットの形状は同じですが、デザイン面にこだわり、バットのキャップ部分を新幹線のノーズに見立てて、新幹線0系の独特な愛らしいフォルムを表現するとともに、窓は1964年当初の「0系初期型」で用いられていた大型タイプをイメージしました。
1971年に当社が「日本で初めて製造・販売した国産の金属バット」と、1964年に登場した「日本で初めての新幹線0系」は同じ時代を歩み、進化を遂げてきました。JR東海と当社は「夢を追いかける少年少女を応援していきたい。」という思いを込め、東海道新幹線開業60周年を記念して、再び『東海道新幹線再生アルミ』を活用し、子供たちの夢や希望が詰まった野球のバットを提供しています。
JR東海グループとともに、『東海道新幹線再生アルミ』を活用した金属バットの製作をはじめ、今後も地球環境保全を通じた持続可能な社会の実現に向け、取り組んでいきます。
Osaka Metroの座席に使われているモケットを使用した「ル・プリエスクワット」
2024年発売の「Osaka Metro×ミズノ ル・プリエスクワット」は、「廃車再生プロジェクト」として、引退車両の廃材を利用したアップサイクル商品の企画開発を行っているOsaka Metro クリエイトと思いが一致したことで初めて実現しました。
座りながらスクワット運動をサポートする「ル・プリエスクワット」の座面カバーにOsaka Metroの座席に使われているモケット生地を使用したOsaka Metro 限定モデルで、Osaka Metro 車両の雰囲気を感じながら、おうちでラクラクトレーニングができる商品です。
「大阪マラソン2025」におけるアパレルリサイクル活動
地球温暖化に伴う気温上昇により、ランニングなど屋外でスポーツを行うことが難しい場面が増えてきています。いつまでもスポーツを楽しめる地球環境を守るため、ミズノでは使用済みアパレルを回収し、それらを資源として活用するリサイクル活動を推進しています。
2025年2月に開催された「大阪マラソン2025」では、昨年に引き続きEXPOの当社ブースに回収ボックスを設置し、使用済みアパレルの寄付を受け付けました。
また、多くのランナーが防寒対策としてポンチョを着用するため、リサイクル素材で作られ、使用後には再度リサイクルに回すことができる環境配慮型のリサイクルポンチョを作成し、同じくEXPOブースで販売しました。
大阪マラソンEXPO 2025 ミズノブース内に設置のリサイクルボックス
大阪マラソンEXPO 2025 ミズノブース内に設置のリサイクルボックス
リサイクルポンチョ展示販売
さらに今回は初めての試みとしてレース当日にポンチョの回収を行いました。
スタート地点など4ヵ所にポンチョ回収BOXを設置し、ランナーへ回収の呼びかけを実施。回収した中からリサイクル可能なものは物流用の梱包資材などに生まれ変わります。
製品の製造工程における環境負荷低減の取り組み
原着糸を使用し水資源を保全するランニングアパレル
ミズノは、2023年秋冬シーズンより機能性ランニングアパレルであるドライエアロフローTシャツに、原着糸の使用を開始しています。原着糸とは、糸になる前の原材料の段階で着色された糸のことで、これを使って繊維を編むことで、一般的なアパレルの染色工程を簡略化し、エネルギー使用の低減、水資源の保全に貢献できます。
使用済原着糸を使ったランニングアパレルの一例
サステナブルな未来の実現へ。新素材『テックフィルブレスサーモ』の開発
ミズノは、ダウンを超える温かさ※1の新素材『テックフィルブレスサーモ』を開発しました。『テックフィルブレスサーモ』は、ダウンよりも温かい※1上に、濡れても保温性が低下しにくく、気候に左右されにくい保温力のある素材です。
通常、ダウン製品を作るには水鳥の羽毛を使用しますが、温かさにおいてダウンを超える新素材『テックフィルブレスサーモ』を開発したことで、持続可能な材料調達につながる取り組みを目指します。
※1 当社調べ 20℃65%RH環境下において、KESサーモラボⅡにて20×20cmの試料の保温性を比較
対象品:『テックフィルブレスサーモ』綿、比較品:ダウン(650FP ダウン90%)
ワーカー向けユニフォームの取り組み
ミズノは、スポーツ用品開発で培った技術や知見を活用して、建設、運輸、製造業などのワーカー向けシューズやアパレルなどの製造、販売も行っています。
メディカル市場においても商品展開をしており、医療従事者向けに、環境に配慮した素材を採用したアパレルを販売しています。一般的にアパレル産業では、回収された使用済みアパレルや、製造時に排出される繊維くずなどが存在します。これらを廃棄するのではなく、化学的に処理を施し、原糸として再生するケミカルリサイクル処理を行い再利用する取り組みが進んでいます。
当社のメディカルアパレル(Vネック医療用白衣のスクラブ、パンツ、ジャケット、ドクターコート)にはこうしたケミカルリサイクルされたポリエステルを採用しています。
ケミカルリサイクル素材を使用したメディカルアパレル
製造工程で生まれた製品の端材を有効活用する取り組み
再生カーボン材の利用
これまでゴルフのシャフトやテニスのラケット、野球のバットなどにカーボンを使用し、その特性を生かしてスポーツ用品を進化させてきたミズノ。
その工程で出るカーボンの端材はリサイクルが難しいとされていましたが、技術の急速な進歩で再利用が可能になってきています。
当社では再生されたリサイクル炭素繊維使用の『疾風-HAYATE-🄬』をプレートに搭載した雪駄「SETTA C/Reborn」を2022年から発売しています。
これまでの雪駄「SETTA C/Reborn」の生産で再利用した端材は約30㎏。この素材を使うことで、資源の循環に加え、従来の素材に比べて剛性も向上し、弾性のある履き心地を実現しています。
雪駄「SETTA C/Reborn」
雪駄「SETTA C/Reborn」
木製野球バットの端材利用
ミズノの主力製品の1つが木製野球バットです。自然資源の木材には節があるため、製造工程の途中でバットには不適格材として利用されない端材が発生します。当社は、野球で必要とされる強度や外観を満たせない端材を廃棄することなく、アイデア一つで役に立つ、価値のあるモノにつなげようと日々検討しています。
動物園での木バット不適格材の活用
大阪の天王寺動物園に、木製野球バットの不適格材を300本寄贈しました。これらの木材は、オウム科のキバタンの止まり木や、オナガザル科のブタオザルの渡り木、さらには園内の柵にも使用されています。天然素材ならではの安らぎを動物たちが感じてくれればと願っています。
天王寺動物園での木バット不適格材の活用
木バット不適格材を使ったテーブルウエア
島根県の木工職人の方々とのつながりを得て、木バット不適格材をテーブルウエアとしてアップサイクルすることができました。
バットは7つの部分に輪切りにされ、それぞれ専門の職人の手によって、「タンブラー」「一輪挿し」「つまようじ入れ」「箸置き」「おちょこ」に生まれ変わりました。ともに森の恵みを大切にしてきたミズノと木工職人によって、野球を愛する人だけではなく、より多くの人に、木が与えてくれるぬくもりとやすらぎを食卓で感じていただける商品となりました。
木バット不適格材を使ったテーブルウエア
野球グラブ端材の利用
ミズノの野球グラブは、弾力性や耐久性などを考慮し、良質な革からグラブの各部位に適したパーツを切り出し、熟練のクラフトマンの手によって製造されています。この製造工程から、どうしても使用されない端材が大量に発生することが課題となっていました。
これらの端材を廃棄せずに再利用する方法を考える中で、“継ぎ接ぎでもグラブを製作できないか”とのアイデアから、軟式野球用グラブ「TSUNAGI GLOVE」を開発しました。
クラフトマンの技術で、多くのパーツを組み合わせ、なおかつしっかりとボールが捕れるグラブの立体形状の成形を実現しました。端材のランダムな組み合わせにより、1つとして同じものがない個性的なデザインに仕上がっています。
軟式野球用グラブ「TSUNAGI GLOVE」
※ 公式戦では使用できません。
※ ミズノ直営店限定販売
環境に配慮した原材料の研究開発
ミズノは、石油由来の原材料に代わる非石油由来の原材料について研究開発を実施しています。なかでも、植物性由来の原材料として有力な候補と考えているセルロースナノファイバーなどのナノ材料の研究開発を行っています。
今後の課題
ミズノの事業活動全体の温室効果ガス排出量のうち、その他の間接的な排出であるScope3の占める割合は約97%です。特に「購入した製品・サービス」が全体の約80%を占めるため、製品を通じた温室効果ガス排出量の削減が重要と認識しています。今後も温室効果ガス排出量の低減に向けた製品の企画開発を推進します。