重要課題
ミズノの技術を応用したSDGs貢献

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基本的な考え方

ミズノは、競技スポーツ品だけではなく、生活用品やワークビジネスなど多様なシーンに目を向けて事業を展開しています。スポーツ分野での強みを生かし、心身の健康増進や、地域の多様なコミュニケーション促進を含めて、社会課題の解決や地域社会の健全な発展に貢献していきます。

また、競技スポーツ分野で培った機能や素材を生み出す開発力と、高い品質のモノづくりを実現する技術力などの強みを生かし、多様なイノベーション創出に挑戦しています。今後も、SDGsを含め、社会課題の解決を起点にしたサステナビリティへの貢献を目指していきます。

カーボン技術を応用した研究・開発

ミズノは、これまで人の動きや形状に合わせた「人が中心」の研究開発を進めてきました。この研究に対する軸はこれからも変わらず、SDGsに貢献できる製品やサービスなど新たな価値の創出に向けて研究・開発を行っていきます。モノづくりの企業として“ええもん”を作るだけでなく、全ての研究テーマをSDGsに紐づけ、中長期目標のカーボンニュートラルへの貢献、ひいてはサステナブルな社会の実現に向けて取り組んでいきます。

当社は、カーボン技術を応用した研究・開発として、リサイクルカーボン技術を利用した製品開発の拡大や、熱可塑性CFRPの研究・開発、ナノフィラーによるCFRP強化の研究などに注力しています。

  • リサイクルカーボン技術を利用した製品開発
    例えば、足部の疲労を軽減する製品としてシューズのインソール(中敷き)があります。ウォーキング愛好家をはじめ、労働者や高齢者の足元を支えるインソールのバネ材へのリサイクルカーボンの適用を進めたいと考えています。
  • 熱可塑性CFRPの研究・開発
    カーボン製義足板バネなどに使われている従来の熱硬化性CFRPと用途は変わりませんが、成形時間が短く、再利用が容易です。サステナブルな社会に貢献できるCFRP製品の実用化を目指しています。
  • ナノフィラーによるCFRP強化の研究
    ナノレベルの材料を添加することで、材料自体の性能が向上し、高機能なスポーツ用品の開発が可能になると考えています。

新スポーツ・サービスの研究・開発

世代・性別・障がいの有無などの違いを超えて一緒に楽しめる新スポーツ・サービスの研究・開発に取り組んでいます。

ミズノは、直営施設、指定管理施設などお客さまが利用される場の運営をしていることから、サービスの研究・開発においてお客さまにアプローチしやすい環境があります。また、これまでのスポーツ用具・用品の研究開発から人を対象とした研究実績を活用し、サービスの研究・開発も行っています。

スポーツ用品の機能的価値を活用したワークビジネスの展開

ミズノは、ワークビジネス事業を戦略ドメインの一つとして位置付け、さまざまな業種のワーカー向けに、スポーツ用品の機能的価値を活用した企業ユニフォームやシューズなどを展開しています。近年、企業活動において、従業員などの健康管理を経営的な視点で捉え、戦略的に実施する「健康経営」が注目されており、福利厚生の観点から従業員のユニフォームなどの支給品の安全性や快適性を重視する企業が増えています。

当社では、暑さ対策品の「エアリージャケット(ファン付き作業服)」、寒さ対策品の「テックシールドジャケット」など、過酷な労働環境に合わせた提案にも取り組んでいます。また、ペットボトルのリサイクル糸を使用した企業ユニフォームやケミカルリサイクル糸を使用したワークアパレルなどの環境配慮型商品の開発を進めることで、労働生産性向上を目指し、持続可能な開発目標(SDGs)の実現に貢献しています。

ワークビジネス事業の経緯

ミズノは、1997年からスポーツ用品開発で培った技術や知見を活用した、別注の企業ユニフォームを企画・販売する専門部門を設置し、これまで7001,200社以上に納品しています。近年、企業などからの需要を受け、2016年3月からワークシューズを、2018年2月からワークアパレルを本格的に展開。2019年4月にはワークビジネス事業部を新たに設立し、ワークビジネス強化に取り組んでいます。

さらに2019年4月には、BtoB(Business to Business)強化を目的に、法人営業部をそれまでの約20人体制から約90人体制に増員し、北海道から九州までの全支社に法人営業部員を設置して企業への営業活動を強化しています。

2025年度には、売上170億円を目指しています。

ミズノワークアパレルの特長

ワークアパレルには、屋内外における寒暖などの環境変化に合わせて、働く人がより動きやすく、より快適に作業・労働するための機能性が求められます。ミズノワークアパレルは、動きやすさを追求した独自のウエア設計「ダイナモーションフィット」や汗処理に優れた素材「ドライエアロフロー」、体から出る水分を吸収して発熱する吸湿発熱素材「ブレスサーモ」などを採用し、働く環境で求められる機能を搭載しています。

  • 動きやすさを追求したウエア設計「ダイナモーションフィット」
    「ダイナモーションフィット」は、人間工学に基づく動作解析により、作業時の動きやすさを追求しています。引きつれや圧迫感を軽減し体の自由な動きをサポートします。
  • 汗による不快感を軽減する汗処理素材「ドライエアロフロー」
    「ドライエアロフロー」は、汗の膜が生地の通気性を低下させ、不快感の原因を生むことに着目して開発した素材です。大量発汗時でも高い通気性を確保し、衣服内のべたつきの抑制機能とクーリング機能を発揮。梅雨時期や真夏の炎天下での快適な作業をサポートします。

身体動作に関する技術・ノウハウを医療・介護の現場に活用

ミズノは、100年以上にわたって人間の身体動作を探求し、スポーツ用品を通じて無数のアスリートを支えてきました。スポーツの現場に寄り添い、アスリートと共に築き上げてきた当社の技術とノウハウは、過酷な環境で患者さんを支える医療や介護の現場にも貢献しています。

医療・介護関連の事業として、当社はメディカルシューズとアパレルを展開しています。不衛生たんぱく質を分解する「ハイドロ銀チタン」素材や、「ダイナモーションフィット」設計を搭載したスクラブ・パンツを発売し、事業拡大を目指していきます。

アスリートを盗撮被害から守る赤外線防透け生地を開発

ミズノでは、アスリートの盗撮被害抑制につながる「赤外線防透け」の特長を備えた生地を開発しました。近年、競技会場などにおいて性的な目的で女性アスリートの画像や動画が撮影され、それがインターネットで拡散される被害が各種メディアなどで取り上げられていることが問題になっています。そこで、アスリートに対する盗撮」の問題解決をテーマとして新規技術開発に取り組み、「赤外線防透け生地」の開発に至りました。この「赤外線防透け生地」は、機能性材料に精通している住友金属鉱山株式会社、複合材料技術に精通している共同印刷株式会社、スポーツを中心とした生地開発・製品設計に精通しているミズノの三社による「共創」で誕生しました。

アスリートを守り、競技に集中できる環境を提供することは、「心・技・体」の「心」をサポートすることにつながるほか、選手ファーストの観点においても大切な取り組みであると考えています。

子どもの運動習慣向上を目指す運動遊びプログラムの研究

運動遊びだけでなく、スポーツやエクササイズを長続きさせるには、楽しいという気持ちが必要です。特に幼少児期の体験は大人になっても残るといわれており、運動遊びの効果として体力、運動能力の研究だけでなく、運動遊びプログラムと子どもの心の関係を研究しています。運動が苦手な子ども、運動が嫌いな子どもが抵抗感なく参加できる運動遊びプログラムづくりを目指しています。

子どもたちの発達を促す運動遊びプログラムの提供

スポーツにおける正確な動作や、日常生活における細かな動作が苦手で、物をよく落とす、ハサミや刃物がうまく扱えないなど生活の中で支障を感じている子どもたちを対象とした運動遊びプログラムを提供しています。このプログラムを通じて、身体の動かし方や巧緻性を改善することで子どもたちの発達を促していきます。

高齢者の認知能力向上(低下防止)を目指す運動プログラムの研究

健康に関して高齢者が感じている不安は、転倒によって寝たきりになることと、認知能力低下によって日常生活に支障が出ることの二点があげられます。高齢者の長期寝たきり、入院は医療費や介護費の負担増を招きます。ミズノは、健康寿命を延ばすためには、楽しく運動を続けることが重要だと考えています。リズムに合わせて身体を動かしたり、手と足の協調運動を行ったりすることで認知能力の低下予防につながるとの考えのもと、高齢者を対象とした運動プログラムの研究を行っています。

遊びの要素を取り入れた新たなスポーツの研究・開発

各種協会や大学との協働により新たなスポーツの研究・開発に取り組んでいます。例えば「500歩サッカー」は、歩数を制限するルールとデジタルデバイスの活用によって、運動が苦手な方たちや運動能力に差を感じている方たちも、楽しく体を動かしたり、ゴールを決めたりする体験を味わうことができます。

ミズノは、スポーツ科学とデジタル技術をかけ合わせた研究・開発の推進と、スポーツ施設などの場でスタッフによる実践・運営ができるという強みを生かし、新たなスポーツの研究・開発に引き続き取り組んでいきます。

今後の課題

ミズノは、製品やサービスを生み出すための指針となる「MIZUNO MIRAI VISION(ミズノミライビジョン)」を策定し、Webサイトで公開しています。私たちは、スポーツの定義を「楽しく体を動かすこと」とし、「スポーツで人を幸せにする」という使命に向かい、「みんなが楽しく体を動かす社会。スポーツの力で社会課題を解決する世界。」の実現を目指します。

そのための場として、イノベーションセンター「MIZUNO ENGINE(ミズノエンジン)」を設立し、2022年11月から本格稼働を開始しました。私たちは、「競技」、「健康」、「環境」、「教育」、「ワーク」の5つの領域において、スポーツにできることを追求し、スポーツの力による変革を目指します。

人がさらなる高みへ向かうための「集中力」や「モチベーション」の向上には、未だ解明されていないことが多い心の領域のメカニズム解明への挑戦が必要と考えています。私たちが長年大切にし、磨いてきた「人を中心にメカニズムを理解し、目的に合わせて製品・サービスをデザインする」という中核技術をさらに進化させるとともに、社外のパートナー企業との共創も加速させ、心の領域のメカニズム解明につながる研究も加速させていきます。

MIZUNO MIRAI VISIONについてはこちらをご参照ください

画像:イノベーションセンター「MIZUNO ENGINE(ミズノエンジン)」

イノベーションセンター「MIZUNO ENGINE(ミズノエンジン)」